第一声は「いらっしゃいませ」
おとこん 12
夜にシャークがカジノに来てくれた
というか、シャークと別にカーティスも来てんだけど…私が居る時に来るなよ!
「よう…って、何でそんな格好してんだ?」
「シャークさん、コレにはちょっと理由がありまして…」
「おっ来たかシャーク!カーティスも今日はカードしようぜ!」
「そうですね今日はも居る事ですし、4人でポーカーでもしましょう」
「私カード出来ないから無理」
ぴしゃりと誘いを叩き落とす
「俺が教えてやるって言ってんだろ!だからゲームしようぜ!!」
「3人でしとけよ」
ロベルトが目をキラッキラさせて誘いをサルベージしてきたがそれも叩き落す
「あ。そうだカーティス…俺も参戦するから宜しくな」
「…へ?」
ロベルトに肩に手を置かれぐいっと引き寄せられた
「――そうですか。ミイラ取りがミイラになりましたね…」
なんだろ…この二人笑いあってんのに間の空気ピリピリしてる
そこにシャークが入ってきた
「お前等何の話してんだ?」
「ん?ああ、シャークってがお――」
ひゅっ
ロベルトの喉もとにナイフを突きつける
「おい今日言った事もう忘れたのか?それともわざとか?わざとだよな??」
「言わないなんて約束した覚えはないけどな
…オーナーに刃物向けるたぁ、いい度胸じゃねえか」
ロベルトが目を細めこちらを見つめる
「でしたら今この瞬間から辞めさせて頂きますオーナー
あなたがどうしてもと仰るので仕方なく一日了承したまでですので。
っていうか、いきなりスタッフにするなんてどういうつもりだ?」
そう、今私はディーラーの制服を着ている
夕方になっても服がまだ届かないので、ロベルトが貸してくれた制服着用中
「ついでに働いてけ」って言われたので流れで働いている(拒否したらスタッフ達に強制紹介された)
カード出来ないからロベルトのお供として
「他の奴にのディーラー姿自慢してやろうと思ってな!」
どうだ!胸を張るロベルトにイラッとするんですけど…
「とっても似合ってますよ」
「…お前等いっぺん死んでください」
嬉しそうに言ってんなよHENTAI共が!!
「え。何でだよ普通だろ?制服着せたりすんのはロマンだよロマン」
「だ・か・ら!それ好きな子限定のロマンだって自覚しろよ!
ディーラーの制服なんてコア過ぎるっつの!!」
突きつけたナイフで切りつけようとすると
素早く腕を掴まれて抱き寄せられた
耳元で囁かれる
「似合ってるぜ?可愛い」
「ゃ…っセクハラ!セクハラで訴えてやる!!」
「耳弱いのか?」
「ッ!!」
ふっと息を吹きかけられ、ビクリと反応してしまう
「っのやろ!朝殺しとくんだった!死ね!!今すぐ死ねっ!!!」
「そんな攻撃当たらねえよ」
蹴り上げるもひょいひょい避けられる
くそー有力者ってどんだけ強いんだよ
「カーティス、俺お前の気持ち分かっちまったわ。そりゃ気に入るよなー」
「わかってくれます?こう、敵わないのが分かってるのに
真正面から向かってくるのが良いんですよねえ
返り討ちにして悔しそうに歪む表情がゾクゾクします」
「あーわかるわかる!真っ直ぐっつーか、やたら正面から来るよなって
そんで照れた時なんか顔真っ赤にするもんだから可愛いったらねーよ」
「変態共は黙ればいいと思う。〜〜〜っシャークさんこの二人酷い!酷すぎる!!」
「あーよしよし。俺もそう思う」
半泣き状態でいると頭をポンポンと撫でられる
うぅ…優しい
どっかの変態共とは大違いだよ…
和んでいると上から声が降ってきた
「、女だってバレたみてえだな」
一瞬身体が強張った
おそるおそるシャークを見上げる
「…どうして」
「初めて会った時、お前が治療中に服の袖引き千切ってたの見たからな」
ローブも脱いでたから身体つきで分かった、と
「――何で今まで黙っててくれたんですか?」
「メイズを庇って結構な怪我だってえのに
俺の治療拒否してまで隠したがってただろうが」
結局バレちまったみてえだがな?
と肩をすくめる
じゃあ女って分かってて今まで男扱いしてくれてたんだ
…………
「…私、シャークさん好きだなぁ」
ほわっと笑って言うと、シャークが目を見開いた
「〜〜ッお前は!そう言う事をそういう顔で言うんじゃねえ!!」
「え?なん、、ぅわっ縮む!背が縮みますシャークさん!!!」
ガシっと頭を掴まれたかと思ったらグググ…と押さえつけられる
ここの人たちは私の頭を掴む癖でもついてんのか?
「ちょっシャークさん約束の品!渡しますから離してください」
「あ、ああ。そうだな…」
やっと上からの圧迫から開放された
ここの男共は何でみんな背が高いんだ…憎たらしい
私だって160後半はあるのに
「じゃあコレ、今回の分です。そちらで引き取れない石は
いつも通り、返却お願いしますね」
じゃらりと手に持っていた石の入った袋を渡す
「いつも思うんだがよ」
「なんですか?」
「返却した石はどうしてるんだ?」
「職人さんに加工法教えて貰ったので、私が加工して露天で売ってます」
趣味の範囲だが、これが結構人気だったりする
「今、加工品持ってるか?」
「鞄の中にありますけど…持ってきましょうか?」
「ああ」
「じゃあちょっと待っててくださいね」
そう言って未だに変態談議に花を咲かせている内の一匹に声をかける
「おうそこのエロベルト」
「っ俺の名前はロベルトだっつの」
「はいはいはい足フェチのエロベルトオーナー?
鞄取りに行くので部屋の鍵貸してくださいません?」
「聞けよ!…帰んのか?」
だったら渡さないと言ってきた
もー!!こんな格好で帰れないだろが…ゲームの事をちらつかせる
「いやまだ帰んないけど……一回だけカードし―」
全部言い終らない内に目の前に鍵が出現した
なんという現金さ いっそ清々しいな
「ほら早く行ってこい!んで超特急で帰って来い!!!」
「一回だけだぞ!一回だけ!!…ルール教えろよ?」
「わーかってるって!あ。ついでにやるよその鍵」
「家主の許可無く無断で入る事は主義に反するので即刻返す」
「?それは僕への当て付けですか?」
それ以外に何があるっていうんだ
無視して部屋へ向かう
入ると、私の服がテーブルに置いてあった
着替えて鞄を腰に巻き、部屋を出る
「お待たせ。はい鍵」
「おー…って、着替えたのか」
「とーぜん!」
「チッ」
「何舌打ちしてんだエロオーナー
今日一日私の足存分に拝んだんだからもう良いだろ」
カーティスとシャークがピシッっと固まる
「シャークさんこれ加工品で…って、どうしたんですか?顔引きつってますけど」
「……お前、何でさっきまで制服だったんだ?」
あれ?眉間に物凄いシワが…
「え?あの、服を洗濯に出してたので今日一日ロベ――」
「っ!ルール教えるから今すぐこっち来い!!!」
キラキラしたロベルトが言葉を遮って話しかけてきた
そんなにゲームがしたいのか?
「そんな呼ばなくても行くって」
「」
シャークにガシッと腕を掴まれた
「その前に聞く事がある」
「え?シャークさん?」
「さっきの続きを説明して貰おうか」
「ぇ…なんでそんな怖いんですか」
「良いから話せ」
「えっと、昨日ロベルトの部屋に泊まった時に、服を全部洗濯したので
ロベルトのパジャマ借りたんです…って言おうとしたんですけど…まずかったですか?」
何でこんな親に怒られてるみたいな状況になってるんだ
シャークってお父さん気質だよな…
「パジャマ借りたんだったら、足なんて見せないだろうが」
「いやあの…上だけで過ごしてたんです」
もじょもじょと答える
「………は?」
「ですから、ロベルトのパジャマの上着だけで過ごしてたんですよ」
ちらりとシャークを見ると額に青筋が
あ…来る
「お ま え は !なんつー事してんだ!!」
ビクッっと肩を竦ませる
「だ、だってシャークさん!」
「だってじゃねぇ!!」
「最初は困ってたんですよ!?でも面倒だから洗濯終わるまでこのままで良いやって」
「お前ってやつは…っ!ロベルトお前もだ!最初から制服着せてやれ!!」
「あー…悪かったって。でもだって何も言わなかったんだぜ?」
「いや…パジャマ強奪した上に服よこせだなんてそんな事言いづらいし…」
「ロベルト相手に変な気使うな!ふんだくる位で丁度良いんだよ」
わーぉワイルドー
「おい!それどういう意味だシャーク!!」
「分かりましたシャークさん。次からふんだくります」
「も何言ってんだ!普通に貸すからふんだくるな!!」
ギャアギャア言っている間、カーティスは無言だった
なぜなら彼は目をキラキラさせてロベルトを見ていたから
「…なんだよカーティス」
「僕…あなたの理性に感動しました」
「へ?」
「の足をみて襲わなかっただなんて!」
「待て。カーティスだけだよそんな事思う奴は!
私の足ごときでロベルトがどうこうするわけねーだろ!?」
「…いや、実を言うとちょっとヤバかったけどな…?」
「……………本気で言ってる?」
「ああ(押し倒された時とか頬に触れてきた時とか)」
「…溜まってんだなロベルト…」
引きこもりだから仕方ないっちゃないんだろうけど
「待て。なんでそうなる」
シャークからツッコミが入った
「え?欲求不満だから近場の奴でも反応しちゃうって事でしょう??」
「「「…………。」」」
三人ともこちらをジッと見ている
なんだよ…私変な事言った?
その後ゲーム中もなんとなく静かでした