この兄弟察しが良すぎ!!






おとこん 17






シャークから貰った服に着替える(当然服装は男物。でも傷が見えるように左だけ半袖)
奥から戻ってみるとシャークはまだベッドに腰掛けたままだ

「シャークさん、顔真っ赤ですよ?」
「ほっとけ!!」

…ほっとけと言われるとほっとけないなあ(悪い顔)

「照れたんですか?照れたんですか???指の上からしたのに?」
「…お前は何でそんな普通なんだよ」

ジト、と睨まれる

「いや、私よりシャークさんのが照れてるみたいですので。…可愛いですよ?」
「なっ可愛いだと!?」
「ええ。和みます」
「…嬉しくねぇ」

シャークはガックリとうな垂れ頭を抱えた

なんでよ。良いじゃん別に癒し系で

「!、ちょっとこっち来い」

チラリとこちらを見たシャークが真顔になる

「?なんですか?」
「包帯に血が滲んでる。腕に力入れただろ」
「入れて無い…と、思う」

眼を逸らしながらポソッと言う

「入れたんだよ。治んねえぞ?」
「腰の鞄が重かったので…すみません」

素直に謝りシャークに近付き、腕をみせた
消毒してガーゼと包帯を新しくする

「何が入ってるんだその鞄」
「えー…と。まず短刀二本が鞄と同一化してて、左右に柄が出てるので分かりますよね。
中に投げナイフが40本と発掘道具と水筒、簡易の治療道具とお金が少し入ってます」

因みに足と腕にサバイバルナイフとコンバットナイフを装備して、
太ももに投げナイフを10本巻き付けてる

「刃物持ちすぎだろ!金だけ出して外しとけ!」

シャークが鞄を外そうと手を伸ばしてきたので一歩後ろへ下がった

「嫌ですよ!いざと言う時に無いと落ち着きません」
「そんなに刃物いる状況には滅多になんねえだろ?」
「街に出るとなるんです。」

タイロンとかタイロンとか…あと、タイロンとか
ここの人達って、女って分かっても変わらずにいてくれるから嬉しい

「……言わねぇでも分かると思うが、力入れたり戦闘したりすんなよ?」
「善処しますが、しないとは言えません」

そう言うとシャークは額に青筋を浮かべた

外出禁止にするか?
嘘です絶対しません!
「じゃあ鞄外してやるからもっとこっち来い」
「これ位自分で…」
「外す時にまた力入るだろうが。」

渋々シャークに鞄を外してもらい、隣に腰掛ける

「…すみません…色々迷惑かけて…」

あぁ、気分がしょんぼりする

「俺がしたいと思ってるから良いんだよ。お前は気ぃ張りすぎだ」

たまには楽して利用できるモンは利用しとけと言われる

優しいなぁ…さすがお兄ちゃん

そっと手を伸ばしシャークの頭を感謝を込めて撫でる
シャークも座った状態だから撫でやすい

「…お前なんで俺の頭撫でるんだよ」
「だって、私シャークさんに頭撫でられるの好きだから
私も撫でれる時は撫でたくて。なんか安心しません?」

撫でられた時の事を思い出しながら言ったので顔がほわっと緩む

「っだからそう言う事をそう言う顔で言うなって!!」
「??」
「……はぁ。」

シャークはそっぽを向いて溜め息を吐いた

耳赤くなってるんだけど…私なんか赤くなるような事したっけ?

「あ、今日の夜戻らなくても良いですか?」
「…用事か?」
「はい。酒場でロベルトと会う約束してるんです」

そう言うとシャークは眉根を寄せた

「適当に切って戻って来い。酒も飲むなよ」
「それは飲みませんけど…酒場ですよ?
さっきみたいな押し倒すとか無いですよ?」

まあ抱きつかれはするだろうが
それはいつもの事だし

「睡眠も必要なんだ。、朝まで騒ぐ気だろ?」
「……」

はいその通りです
最近、奴と会う時はどんちゃん騒ぎに乱闘と言う名の攻防戦まで付いてきます

「朝戻ったら寝ます」
「駄目だ。夜に寝ろ」
「……戻ってこれません」

無理だよあんな酔っ払いまいて逃げるの
っていうか、酔った振りして楽しんでる気がするから性質が悪い

「じゃあ迎えに行ってやる」
「え、でも今夜オペとか」
「夜に俺が執刀するのは無い」
「…商人の方で仕事入ってたり」
「そっちも急ぎの仕事は入って無え」
「……メイズは」
「最近は薬の量も減ってきてるから平気だ」
「…えー、と…」

過保護だ。過保護すぎる

「…シャークさんってお父さんみたい」
「!?おと…!!?」
「もしくは超シスコンの兄。」
「…わかった」

そう言うと、シャークは私の顎をクイッと持ち上げる

「え。あの…」
「そんな事言えなくしてやる」

さっき私がしたように唇を指で押さえ、その上からキスされた
しかも視線を合わせたまま

「〜〜〜〜っっっ!!!!!」

顔に熱が一気に集まった
しばらくそのまま見詰め合う

な…長い長い長い!!!
ちょ、無理!もう無理!!
私にらめっこ弱いんだって!!!(なんか違)

「ぅ…シャークさ…」
「黙っとけ」

息がかかる
半泣き状態に目が潤んできたところで、やっと開放された

「〜〜っ何するんですか!」
が失礼な事言うからだろ」

見るとシャークは至って普通だった
さっきまで顔真っ赤にしてた人物とは思えない

「………決めた!私もっと強くなります!!!」

ベッドから立ち上がり宣言する

「は?」

シャークは私の突然の宣言に呆ける

「要は急な行動起こされても反撃出来れば良いんですよね!!」
「ああいや、間違ってはねえけどな?それちょっと方向がちが」
「ですよね!!頑張ります!!!!」
………。がそれで良いなら良いけどよ」
「って事でシャークさん。技盗むので襲われて下さい」

ドサッとシャークを押し倒した

「は!?ちょっと待て!なんでそうな」
「あ。シャークさんが女役ですからね」
「!!!??」

私の言葉にシャークは絶句し、一瞬固まる

チャーーーンス☆

さっき外してもらった鞄のベルト部分をシャークの腕に巻き
鞄で重しをした――



その時



「兄さん!が来てるって――え?」

メ イ ズ が 部 屋 に 入 っ て き た

おっとー…どう説明しようか

「あ、あのねメイズ…これは」
「やっぱり兄さんとってそういう関係なんですね!?」

私の声を遮ってメイズが喋る

「ちが、誤解…ん?やっぱり??」

何か嬉しそう
しかも溢れんばかりの笑顔だし

「メイズ、なんでそんな嬉しそうなの?」
「え。だって、兄さんの恋人なんでしょう?
僕の姉さんって事ですよね!」

うっ!キラキラの笑顔が眩しい
しかも何か恋人フラグ立ってる!?(メイズ的に)

「だから違う…って、ちょっと待って。私メイズに女って言った?」
「いいえ?」

じゃあなんで知ってんのこの子
私今日言う予定だったんだけど…?

シャークを見るとバツが悪そうに視線を逸らされた

「あー、。メイズも気付いてたみたいだぞ?俺に確認してきたからな」
「兄さんが『言うな』って言うから、黙ってたんです」
「…なんで分かったの?」
に会って2ヶ月くらい経った頃に、
『体調悪いんですか?』って聞いた事あったでしょう?」
「うん」
「それから体調悪い日が一月に一定の周期で必ずある事に気付いたんです」

それはつまり…『あの日』の事でしょうか
今まで気付いた素振り見せなかったのに…
メイズ…おそろしい子!!

「……それで私が女だと?」
「はい」
「…参りました。」

そう言うとメイズは嬉しそうに笑った

「シャークさん、メイズ凄いですね」
「だろ?自慢の弟だ」

誇らしげに胸を張るシャーク


まあ押し倒されたこの状態では全然締まらないが。

気がそれたのでシャークの上から降りて鞄をのける

「お前な…照れたからって突拍子の無い事すんな」
「!」
「分かりやすいんだよ」

ば、バレテル。
もーやだこの兄弟…



とりあえずメイズの誤解は夕方までかけて解いた