似た物同士?全然違うよ!!!
おとこん 19
今日は朝から南の斡旋所へ繰り出した
確か今日休みって言ってたし
斡旋所に到着後、すぐに受付のお姉さんに声をかける
「こんにちはお姉さん」
「あら。いらっしゃい」
「タイロンいますか?」
「ええ。」
「呼んで来て貰っても良いですか?その間――」
コショコショとお姉さんに耳打ちする
「じゃあ、お願いしようかしら」
「はい!」
さぁさぁさぁ寄ってらっしゃい見てらっしゃい!!
おっそこの男前な兄さん、アイテムの購入はもう済んだ?
今日のおススメは毒針と陽炎玉だよー!まとめ買いにはおまけも付いてくる!!
ちなみに、スマイルは0Gでっす☆もってけドロボー!
え?品物の買取?
勿論常時承ってるよ!毛皮系が不足してるから、売ってくれると助かるな
あーっと、そっちの兄さんは仕事の斡旋だね?
情報料の上限は?
…ふんふん。
だったら今日は特に暑いから、オアシスでマンドレイク倒すってのはどう?
…ん?はいよ何だい姉さん!…スマイル下さい?
どうぞ!!(ニコ☆!)持ち帰りは出来ないよ!!目に焼き付けて帰っておくれ
ワイワイガヤガヤやってると、お姉さんがタイロンを連れて来てくれた。
「…何やってんだよ」
「見てわかんだろ!お姉さんの代わりに受付してんだよ!!」
「は?受付?どう見ても叩き売りだろ」
「なんだと!?失礼な!!」
タイロンを睨みつけてるとお姉さんが声をかけてきた
「、もう良いわよ」
「はい。有難うございました
これ、売り上げと買い取り品、あと斡旋した人のリストです」
「こちらこそ有難うね。今度品物売りに来た時はサービスするわv」
そう言ってお姉さんは仕事に戻って行った
「で?何の用だ?」
「ちょっと報告。しばらく左手使えないから、遊ぶ時お前は刃物禁止な」
ちなみに、遊ぶ=ケンカと言う名の手合わせ
「…何かあったのか?」
「ちょっと腕怪我しちゃったんだ」
そう言ってローブから包帯の巻かれた腕を出して見せる
「だから――わっ!」
ひょいっと担ぎ上げられ斡旋所の隅のベンチへポイっと投げられる
「痛っ!〜〜なんだよ急に!」
そう言ったが反応が無い。目の前に突っ立ったままだ
「…タイロン?」
「誰だ」
「え、何?」
「誰にやられた」
さっきまでと雰囲気が全く違う
目の奥に暗い光が宿っている…もしかして、怒ってるんだろうか
声に起伏が無いから感情が掴みにくい
「…自分の不注意で切った…んだけど」
いつもと違うのでちょっと怖い
「……誰かにやられたとかじゃねえんだな」
「う、うん。違う」
タイロンは雰囲気を戻してドカッっと乱暴にベンチに座り天井を仰ぎ見た
「なあ…もし誰かに何かされたら言えよ。…ソイツぶっ殺してやる」
「いらん。怪我くらいで殺されるとか堪ったもんじゃないだろ。絶対言わない」
「チッ」
「舌打ちすんな。……、タイロン」
「あ?」
コテッとタイロンの方へ身体を預ける
「なっおい!なんだよ!!?」
「心配してくれてありがと。」
「………だからってくっつくな」
ぶすっとしながらもタイロンは私を押しのけないでいてくれる
「だって嬉しくて。私、良い友達持ったなーってさ」
まあ心配の仕方が物騒ではあるが。嬉しいのは嬉しい
「でもさ、タイロンだって私に殴りかかったり剣向けたりするじゃん」
「そりゃあお前、俺は良いんだよ」
何その剛田家の長男みたいな考え方!?
オマエノモノハオレノモノー、オレノモノモオレノモノー
「さっきの感動を返せ!自慢の石頭、私の頭でカチ割ってやろうか!!?」
「出来るモンならやってみろ。より俺の方が絶対硬いけどな」
ハッと鼻で笑うタイロン
「私の方が硬いね!も、これでもかって位驚きの硬さだもんね!!石頭の中の石頭!
そう!!キング オブ 石頭とは私の事だ恐れ入ったか!!!!
タイロンの頭なんか粉々にしてやるわ!!ヴァカめ!!!」
「っの野郎…!黙って聞いてりゃあ好き勝手言いやがって、俺の方が硬いって言ってんだろ!!?」
「だったらどっちが硬いか比べてみるか!?フッ…まぁ?絶対私が勝つけど???」
私も負けじとハンっと見下したように笑った
「…上等だ。受けて立ってやる!!」
「おう来いや!ケチョンケチョンにしてやんよ!!!」
額をゴリゴリ付き合わせながら睨み合う
「…お前達、朝っぱらから何をやっとるんだ」
「げ、親父!」
「あ。トータムおじさん。お邪魔してます」
声のした方向を見ると、居住スペースへ繋がってる階段からトータムが降りてきていた
呆れた目をしてこちらを見ている
「今丁度どっちの石頭が上かを決めるところだったんですよ」
「またそんな事を…この前は身体の柔らかさ、だったか?」
「はい。その前は肺活量で、更にその前――」
「そういう事いちいち親父に言うな」
耳の上をギリギリされる
「いた、痛い痛い痛い!ちょ、ギブギブ!!」
タイロンの腕をバシバシ叩く
「すまんな、乱暴な息子で」
「いてて…いや、タイロン凄く優しいですよ?良い息子さんです」
痛む頭を押さえながらトータムに言うと
え。今ので?って目をされた
タイロンも驚いた顔をしている
「うわー…お前まさか、マゾ?」
「違うわ!いつ私が痛い事されて喜んだ!?そんな瞬間一秒たりとも無いだろ!!」
気を取り直してトータムに話しかける
「今の行為がじゃなくてですね、トータムおじさん。出会った当初は避けるのに必死で分かんなかったですし
普段こんな感じでいっつも過ごしてますけど。タイロンって殴りかかってきたり剣向けてきたりする時、
私が捌けそうだったらそのまま来るんですけど、駄目そうだったら寸止めとかギリギリ当たらない
って距離での攻撃が多いんですよ。
で。防御間に合わなくて直に当たりそうな時は、咄嗟に力緩めた上、軌道修正して掠るようにしてくれるし、
この前タイロンが調子良過ぎてクリティカルヒット出た時なんか――」
「っ!もう良い!!もう何も言うな!!!」
「むごっ!?」
言うなと言っておきながら手で口を塞いできた
「むー…むが!?(もー…また!?)」
ググっとタイロンの手を引っ張っても全然外れない
どうしよう…じゃあ次は…
「っ親父!!今日は外での仕事なんだろ!!!遅刻すんぞ!?」
「はは、わかったわかった。お前、顔赤いぞ?」
「う、うるせえなほっといてくれよ…!」
「しかしこの国で珍しいな、悪意無く他人の良い所を挙げるなんて」
「…俺も吃驚した」
「む??(ん??)」
親子揃ってこちらに目を向けて来た
何?なんでこっち見てんの??
手ぇ外そうと集中してたから会話聞いてなかった
トータムがそのまま出口へ向かうので
タイロンをペチペチ叩いて手を外すように伝える
やっと手を外してくれた。
「トータムおじさん!お気を付けていってらっしゃいませ!!」
ブンブン手を振って見送る
「ああ行ってくる。またな」
――トータムが去った後
「お前、あんまり恥ずかしい事言うな」
「は?何だよ恥ずかしい事って」
「〜〜〜っ何でもねえよアホ!!」
いきなりアホ呼ばわりされた
「んだコラ逆切れかクルァ!(巻き舌)脳みそ筋肉にアホって言われると
哀しくて胸が張り裂けんばかりに泣きそうになるから止めろ!!」
「ははっ……はほんっとに学習しねえなあ…そんなに痛い目みたいのか?
…あ。マゾだっけ、お前」
可哀想なものを見る目で笑われた
んの野郎…!!
「違うって言ってんだろが!!なに聞いてたんだよ耳イカレてんのか!?
そういうタイロンの方がマゾなんじゃねえの??!」
「な!?俺のどこがマゾだってんだよ!」
「っつーか使い分けてるよね。仕事時サドで普段マゾ。みたいな??あ。両刀?」
「………両刀とか言うなよ。一応女なんだろ、お前」
タイロンに注意された。ちょっと屈辱
「良いんだよ気にして無いから。…そう言えばさー、石頭決定戦どうする?今度にする??」
「そうだな…今やっとかねえともうしねえんじゃねえか?」
「じゃあやっとく?」
「やっとくか」
結果 頭の硬さはどっこいどっこいでした。
+++あとがき+++
タイロン+=アホ無限大になる法則
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