考えろ考えろ考えろ!!

Q.どうすれば今この瞬間の危機を回避出来るでしょう?

A.わかりません!!!





おとこん 2





はーい皆さーん。コーンニーチハー。
前回、私の夢に出てきた謎の超絶美形に何故か好きなゲームの事を聞かれ、
うっかりそれに答えてしまい現在進行形で落下中の (こっちではって言うんだっけ)でっす。
しかもいつの間にか私の服装がギルカタール風(私の希望通り)に変更になってました。神秘。
ついでに鞄も装着済みだけど中身は未確認。武器は腕と太ももの辺りとブーツに装備されてた。

太陽の位置と気温からして多分昼近いです。
暑い。とっても暑い。物凄く暑い。真上に太陽があるのが辛い。
つかこれいつまで落ちんの?
この速度で落下し続けたら確実に死ぬんですけど。
え?普通はもっと悲鳴とか上げるだろって??
ふっ。上げすぎてもう疲れたんだよ!
ついでに頬をつねってみたら超痛かった。…夢ではなく現実のようだネ。まだ信じれてないけど
遠い目をしそうになったその時、オアシスが見えた。
ラッキー!上手くすれば助かる。…全身濡れるだろうが。
見ると地上では誰かがモンスター数体(グリーンモルドっぽい)と戦闘中のご様子。

…一応声かけた方が良いよね。苦戦してるっぽいし

「そこの戦闘中の人ー!!!危ないですからどい―――っどわぁ!?」

ドカカッ!!
ばっっしゃーーーん!!!!

最後まで言い切る前にグリーンモルド達を巻き込み一緒にオアシスへ落ちた
余談だけどこのモンスターもっふりしてて丁度良いクッションだった。
こいつ等居なかったら危なかったかもしんない。

「ぶはっ!ゲホッゲホゲホ!!!し、死ぬかと思った…っ!!」

ざばっと起き上がる。
モンスター達はさっきの衝撃で倒せたみたいで、ぷかぷかとアイテムらしき物が浮いている。
苔の塊いくつかと何かの魂。…売れるから貰っとこう。
そっと鞄に忍ばせ岸へ向かう。

あ。そういえば戦闘中の人がいたな。水しぶきかかっちゃってたら謝らないと。
髪をかき上げながらきょろきょろと視線をさ迷わせれば、バチッと目が合いました。


驚きに目を見開いている プ リ ン セ ス ら し き 人 と 。


―――ギルカタールで一番居たくない場所は?―――


―――僕が答えてあげる。ゲームの主要人物達の近く。でしょ?―――


頭の中で奴の声がリフレインされる

「あんの野郎…っ!!!」

ぎりっと唇をかみ締める。
…落ち着けー落ち着くのよ。あの子が本物のプリンセスかどうかも分からないんだから
とりあえず岸へ上がろう。ここで不振な行動をとると怪しまれる
そうと決まれば深呼吸をしてから岸へ上がり、服をしぼる。
プリンセス(仮)は恐る恐る、しかし好奇心が勝っている目をしてこちらへ近寄ってきた。
凄いなこの子。さすが王女様(仮)、肝が据わってる

「…あなた、今空から落ちてこなかった?」
「えぇまぁ。…驚かせてすみません大丈夫でしたか?」
「え…えぇ。私なら平気だけど…」
「良かった!では、私はこれで。」

足早に去ろうとする。

「ちょっと待って」
「ぐえっ」

ローブを引っ張られた。積極的ですねプリンセス(仮)…じゃない離して下さい。
さっきまでの困惑した雰囲気はどこへ持ってったんですか?新しい玩具見つけた子供のような目をしてますよ

「な、なんでしょう?」
「このままじゃ風邪を引いてしまうかもしれないわ。」
「へ?いや、その内乾きますから」
「モンスターを倒してくれたあなたにお礼がしたいの。私の名前はアイリーン=オサラバル。この国の王女よ。あなたは?」

わーお。プリンセスでけってーい

「…私はですプリンセス」
「やだそんなにかしこまらないで。アイリーンって呼んでよ

何ですか突然自己紹介するなんて。っつーか本当にここギルカタールだよ…と今更ながらに再認識。
じゃあやっぱり…帰れないのかな…

「いえそんな訳には…お礼なんてして頂かなくても大丈夫ですから」
「助けられて何もしなかったなんて薄情な女になりたくないの。ね?」

小首をかしげながら ね?と言われても…。

「いえ、たまたま居合わせただけですからそんなお礼なんて…」
「お礼させてくれるわよね?」
「ですから――」
「ね?」
「………。」

……に、逃げられねぇっ!恐るべしプリンセスの押しの強さ。

「〜〜〜わかりました。では、服を乾かした後に街まで連れて行って下さいませんか。」
「街へ?あなた他国から来たの?」
「まぁそんなところです。出来ましたら、宿も教えて頂けると助かります。」
「そんな事ならお安い御用よ!…私も質問しても良いかしら?」
「はいなんでしょうプリンセス」
「アイリーンだってば!――あなた…男よね?」
「……女に見えていたんですか?」

え゛。早くも男装作戦失敗!?顔には出さず内心で焦る

「いいえ、どちらか判断に困ったものだから…ごめんなさい」

どうやら確信は無かったらしい。私の今の発言で『男』だと勘違いしてくれた様だ。
女の勘とはどこの世界も鋭いなぁ。


その後ローブとブーツ・手荷物(ちなみに要望品は全部入ってた)のみを干し、
服は冷たくて気持ち良いからという理由で着たまま(脱ぐと流石に女だってバレるし)しばらくお喋りタイム。
プリンセスは『普通』になりたいんだとか、何故空から落ちてきたのか聞かれたんで(やっぱ気になるよね)、
「落とされた」とだけ答えておいた
そして宿に案内してもらいがてら、斡旋所や酒場、カジノの場所も教えてくれ、その日は終了
アイリーンと別れた。




と別れた後、アイリーンは懐からお金の入った袋を取り出して今日一日を振り返った。
(なんだか不思議な雰囲気の人だったわね。次会ったら絶対名前で呼ばせてやるんだから!)
チャリンと袋を揺らしニンマリ笑った。




―――その頃私といえば

主人公と会っちゃった!うおぉまさかこれからも会うとかないよね!?
…いや、出会ってしまった物は仕方が無いので次から会わないようにすれば良いんだ。
頑張れ私!負けるな私!
と硬く決意していたんだけど
その決意が報われないのを知るのはすぐだったりする。