ズカズカ部屋に入ると後ろからスッと腕が伸びてきて抱きしめられた
「扉を壊すなんて酷いじゃないですか。シャークを説得出来れば来ると、が言ったんですよ?」
「ノックしたら倒れただけだ。っつーか説得じゃないだろどうせ。シャークさん脅して迷惑かけんな。はいこれ依頼品」
そう言ってカーティスに依頼品を手渡す
「確かに受け取りました。…脅してませんよ?僕はごく普通に、穏便に説得しました」
「嘘吐いてんじゃねーよこの怪しさ大爆発が!お前のは説得じゃなくて脅迫って言うんだ!シャークさんに謝れ!!
頼んでた毒コレクション急がせたんだろ!?部屋に帰って来ない日とかあったんだからな!!謝らないなら
そのトレードマーク(?)の三つ編み解いて一部ウェービーな髪型にしてやる!!!」
フーッ!!と毛を逆立たせて抗議する
「…随分シャークの事を好いているんですねえ」
スゥッとカーティスの目が細まり、軽く殺気を出されたがいつもの事なので慣れた
「当たり前だろ!頭撫でてくれるんだぞ!優しいんだぞ!!!」
最近ちょっとアレだけど。何かほら…アレだけど!!
カバディみたいになるけど!!!!!
暇すぎてシャークが寝てる時(日中居ないから)に悪戯仕掛けると青筋浮かべてベッドに押さえ込まれて
『ぞわぞわの刑』に処される。あれはホントに勘弁して欲しい
悪戯しなきゃ良いんだけど…外出れないから暇だったんだもん
ここ数日はしんどそうだったからしてないけどさ
「じゃあ僕も撫でてあげます」
そう言って今度は前から抱きつかれナデナデされる
「…カーティスに頭撫でられてもな…ていうか抱きつくな。そして離せ」
「嫌です。今に触らないでいつ触るんですか」
「触らなくていいだろ。別に触ったからって頭が良くなるわけでも運が良くなるわけでもないんだぞ?」
「わかってますよ。でもしばらく触ってなかったので、今日は思い切りベタベタします」
「今日はっていうか…いつも会ったらベタベタす――」
「ここじゃ何ですから、ベッド行きましょうか」
私を脇に抱えベッドへ移動し、ボスリと音をたてて寝転んだ
顔を首にうずめられる
「やっちょ、くすぐったい!」
首に息がかかるのでジタバタしていると
「僕暑いの嫌いなので、動かなでくれません?」
と言われた。
「お前のせいだよ!私の事抱いてるから暑いんだ。離せばマシになるよ?」
「嫌です」
わがままっ子め
「もー…じゃあ苦しいからせめて腕緩めろ」
もうこれはこういう生き物だと思って抱きしめられるのは諦めよう
「で。シャークにはどこまでされたんです?」
「は?どこまでって??」
「もう男と女の関係なんですか?」
「……いや、どっからそんな発想が出てきたんだ」
セクハラも直接過ぎて清々しいわ
「夜な夜なシャークの部屋からのか細い悲鳴が聞こえると部下から報告が」
「おい部下使って盗聴とかほんと止めろよ変態臭いから。あ、変態だったコイツ!!!」
両手で頭を抱える
それはアレだ、逃亡失敗しておしおきされてる時だ。
やるなら他のおしおきにしてって言っても止めてくれないんだよな…
「もうさ、いっそ“暗殺者”から“変質者”にジョブチェンジしたら?1Gも儲からないけど。
天才変質者カーティス=ナイル!これで良いんじゃね?文字数一緒だからいけんじゃね???」
うん。いけると思う
しかも隠密行動超得意だし
「それ、仕事内容はどういった物なんでしょう?」
「やる気!!??うそ!うそだよ冗談だよやんなよ頼むから!!」
このボケ殺しめ!!ツッコミを下さい
「それで、シャークとは男と女の関係なんですか?」
カーティスが話を戻してきた
「いや…強いて言うなら兄と妹的な関係じゃない?まぁたまに男と女について語るけど」
「……それは……可哀想に」
「可哀想?なにが??」
「いえ、何でも無いです(シャーク…ご愁傷様です)」
「??」
なんだよ。お兄ちゃんだろ?間違って無いだろ?
「じゃあ僕との関係は?」
「カーティス?うーん…ご近所以上友達未満かな」
「……」
「もうちょっと接し方考えてくれたら普通の友達なんだけど」
「『普通』?僕『普通の友達』なんですか?」
不思議そうな顔でこちらを見てくる
「だから接し方考えてくれたらだって。友達はキスしてきたり、変な服着せようとしたり、盗聴したりしないの!」
「まあそうでしょうね。」
「ちょっと!?分かってんならすんなよ!!」
「嫌です。そういえば今日キスしてませんでしたね。後で服も着てください」
そう言って顔を近付けてきたので抵抗する
「嫌だよ!!着ねぇよあんな布面積少ない服なんかっ!!!」
「ふふ…良いですよもっと抵抗して下さい。その方が興奮します」
「ビックリする位本気で変態だな!―――ちょ、ま…っ!!」
ぺろりと唇を舐められる
「っ」
「ほら…もっと抵抗してくださいよ」
クスクス笑いながら口付けをするカーティス
変態ドエスが…っ!!
ガッチリ押さえ込んでるくせに!!!
「〜〜〜っ抵抗しろって、言う…なら、っぁ、力緩めろ!!」
「嫌ですv」
この…っ!しょうがない…あとでシャークに怒られよ…
するりと左手をカーティスの後頭部へ、右手を顎へ持っていく
カーティスの目がわずかばかり驚きを示す
その隙をついて一息に首を捻ろうとするとバッと離れられた
「僕を殺しにかかってくるなんて、ほんとは無謀ですよね」
「…っ…はぁっ……チッもうちょっとで殺れたの、に!!」
言いつつ投げナイフをカーティスに連続で投げつける
「駄目ですよそんな投げ方じゃ」
ひょいひょい避けつつ話かけてくる
左手も添え木を取り払い両手でナイフを投げながら後ろに下がっていく
「良いんだよ!当たると思って無いから」
「…もう帰るんですか?」
カーティスの表情が一瞬、瞬きしてたら見逃したんじゃないかと言うほど本当に一瞬、微妙に歪んだ
「…カーティスって寂しがり屋なんだな」
「は?」
カーティスはピタリと動きを止めた
「寂しがり屋?僕が?」
「だって今凄い寂しそうな顔だったよ?」
無意識だったんだろうか
だとしたら―――
「…攻撃すんなよ?」
そう言って武器をしまい、カーティスに近付き両手でそっと顔を包む
「何を――」
「ちょっと失礼」
カーティスの頭を私の肩口に押し付け
わしゃわしゃっと頭を撫でた
「……?何してるんですか?」
「んー?撫でてる」
「それは分かってます。どうして撫でるんですかと聞いてるんです」
「可愛いから」
そう言うとカーティスはビキッと固まった
「いやー、此処の男共は何でこんなに可愛いのか。」
参っちゃうZE☆
「な…にを言ってるんです?この僕が、可愛いですって?」
「カーティスも可愛いけどシャークさんもロベルトもタイロンもスチュアートも可愛いよ?」
一番はメイズだけどな!メイズは譲れないけどな!!!
「……あなたの言っている事が理解できません。有力者達が可愛いだなんて」
「いーよー理解しなくても。私が可愛いと思ってるだけだもん」
「裏では酷い事だって――」
「分かってるよ?でもさ、そういう面だけで生きてる人なんてこの国に居ないじゃん。例外の雑魚もいるけど、
皆良い所一杯あるよ?カーティスだって…私にはまだ変態面しか見せてないけど、多分ある…………筈。」
最後ちょっと自信無いからうやむやになっちゃった
「……じゃあ僕の良い所、披露します」
「へ?」
私の肩口に顔をつけたまま、ガシッと腰に腕を回された
「僕…テクニックにはちょっとした自信があるんです。あと可愛いと言う言葉、撤回してもらいます」
顔を上げたカーティスの表情は
今まで見た事の無いくらい、良い笑顔でした
「ひっ!そういうのは求めてねぇよ!撤回するから!!お前可愛く無いから!!!
ちょ、身体をまさぐるな!はなせ!!は〜〜な〜〜せ〜〜!!!!」
その後どうやって病院に戻ったかは正直必死過ぎて覚えてません
襲いきられる前に逃げた事を此処に追記しておきます