たまにはこういうのも良いんじゃないか






おとこん 22






先日の一件をシャークにかくかくしかじかと説明すると
「だからお前は〜!!!」とくどくどお説教喰らったけど
左腕はその日に添え木を外す予定だってので、そっちのお咎めは無しになりました



そして現在、外出のお許しが出たので外に出てるんだけど、
これはこれでまだ病院から出れない状況の方が良かった気がする











街を駆けていると見知った人物が居たのでそちらへ向かう

「た、タタタタイローン!!!たすたすたす、助けて!!!」
「っうわ!?何しやがる!!…って、?」

タイロンの背中に飛び付いた
周りの人達がビックリしてるけど気にしないもんね!

「うぅ…カーティスが、カーティスが私の事いじめるうぅぅうぅ!」
「はぁ?そんなのいつもの事…」
「いつもより酷いんだよ!最近毎日朝から元気一杯に剥こうとしてくるんだよ!!!」

ちなみに今はお昼過ぎ。お腹すいた…

「………お前、またカーティスに何かしたのか?」
「またってなんだ!何もした覚えはない!!」
「この前ロベルトから毒盛ったらキスされるようになったって聞」
「お前等なんで私の話なんかしてんの!?っとりあえず助けてくれ!」

ぎゅうぅぅっとタイロンにしがみつく

「そんな事より降りろ。暑苦しいだろ!」
「やだ――っ!!」

瞬間、背後から殺気を感じタイロンから飛び降りローブを脱ぐ
テーブルクロスをかける要領で前方にふわりと広げ、ナイフがローブに刺さった瞬間を見計らい
一気に下へ引きナイフを落とす

「くそ、もう来た…」

呟いたと同時に物陰からカーティスが現れる

「防ぐの慣れてきましたね
「うん♪おかげ様で大分慣れてきたよv動体視力はかなり良い方だからな〜アハッ☆

とでも言うと思ったかぁ!!!街中でナイフ投げんな!!私はダーツの的じゃねぇんだぞっ!!!!」

そう言いながら落としたナイフをカーティスへ投げる
が、パシッと受け取られてしまった

だって投げてるじゃないですか」
やかましゃあぁ!お前のせいで何枚ローブあっても足りんわ!
見ろこの穴だらけのローブを!!金寄こせ弁償しろぉ!!!」
「良いですよ?僕の家に来てくれるのなら」
「先日ヤられかけたのに行くわけ無いだろこのアフォ!ヴォケ!死ね!死ねぇ!!!」

そんなやり取りを見ていたタイロンが声をかけてくる

「お、落ち着けよ
「はぁ、はぁ、う…うんそうだよね落ち着かないと殺れないよね…!!」
「いや、落ち着いてもには無理だけどな」
「はぅっ事実をそんなあっさりと…!!」

よよよっとよろける。
毎日朝から追いかけ回されてテンションが物凄く変だ。
スーハーと深呼吸する
ちょっと気分が落ち着いた

「で、だ。
「ふー…なにタイロン」
「ヤられかけたって何だ?」
「ああ。えっと、この前『カーティスの良い所が分かんない』って言ったら
『テクニックには自信がある』とか言って立ったまま犯されそ――」
お前何地雷踏んでんだよ。
「?地雷???」

なんの?

「それだ。が追っかけまわされてる原因は」
「え…じゃあ“朝からでもこれだけ動けるんですよー”っていう良い所アピールなのこれ!?」
「…いや…ソコじゃなくてな(襲われる口実自分で作ってんだよ)」

タイロンが何か言ってるが気にせずカーティスに話しかける

「あのさカーティス、そういうのじゃなくてさ、もっとこう内面的な――」
「僕としては、先に外側の技術面から知ってもらってからでも遅くないと思うんですよね」

ニッコリ笑い近付いてくるカーティス

「と言う訳で、襲わせて下さい」
「どう言う訳だ!!しかも同意させるでもなく襲わせろって何!?嫌だよこっち来んな!」

サッとタイロンの後ろに隠れる

「おい!俺を巻き込むな!!!」
「いやだ!私は!タイロンを!!は・な・さ・な・い!!!!!」

そう言いながら私はタイロンによじ登りしがみ付く
気分はト×ロにしがみ付くめ×ちゃんみたいな感じだ
体勢的にはエリマキだけど

「ほら、降りてきて下さい」

カーティスが私に両手を伸ばしてくる

「誰が襲われると分かってて降りるもんかっ。あっち行け!」
「いや降りろよ。俺は木じゃねえんだぞ」
「そんな事言うなよタイローン!私とお前の仲じゃんっ☆」

ぐっと親指を立てバチコンとウィンクするとタイロンは顔をしかめた

キメェよ。っつーかこの状況はどんな仲なんだよ!?降りろ!!」
「酷い!だってタイロン背ぇ高いから丁度良いんだ!」
「丁度良いって何だ!おーりーろー!!!!」
「いーやーだー!!タイロンが良いー!!!!」

タイロンが私の服を掴んで引っ張り降ろそうとするので必死にしがみ付く
それまで見ていたカーティスから声がかかった

「…じゃあ襲いませんから、降りて下さい」

ピタリと動きを止める

「…………ほんとに?ほんとに襲わない?」
「ええ」
「…わかった。降りる」

タイロンに支えてもらって降りる
カーティスを見るとなんだかさっきまでの勢い?みたいなのが無くなっていた
いや、見た目は普通でいつもと変わらないんだけど…なんか、元気無い

「どしたのカーティス、暑過ぎてしんどくなった?休む??」
「…はタイロンの事が好きなんですか?」
「へ?何いきなり。まぁ好きっていうかむしろ大好きだけど」
「っ、お前何言ってんだ!」

タイロンは顔を赤くして叫んできた

「え、何?」
「本人目の前にして『大好き』とか言ってんじゃねえよ!!」
「駄目なの?…そう言えばシャークさんにもそういう事言うなって言われ…あ。」

ああ。そうか
この暗殺者の元気が無くなったのは…

「カーティスさ、この前も言ったけど、接し方を考えてくれたら私だって普通の対応になるんだよ?」

カーティスに近付きくしゃくしゃっと頭を撫でる

「ごめんな」
「なぜ謝るんです?」

そう言いつつもカーティスはされるがままだ

「私が謝りたかっただけだ。あっち行けって言って、ごめん」
「………」
「なぁ、三人でご飯食べに行こ?私お腹空いた!」

カーティスと手を繋ぐとビックリしたような顔になった

「ちょっと、?なぜ手を…」
「あっ!タイロンも手ぇ繋ごうぜ!」

タイロンにも手を伸ばす

「いらねえよ!アホ!!」
「…ふっ甘いな!これは提案では無い。強制だ!!!」

ガッとタイロンとも手を繋ぐ

「私の腕のリハビリと思って協力してくれ」
「強制とか言っときながら、結局頼んでんぞ」
「良いの!手を繋ぐ事に意味があるの!なっカーティス」
「いえ、僕に振られても…」

その日一日、各所で手を繋いで歩いている姿を目撃され
一時期話題となった…らしい(私は気付かなかったけど後でタイロンに怒られた)



+++あとがき+++
ウチのカーティスさんは変態ドエスの寂しん坊です