この流れはどう言う事でしょうか
おとこん 23
「これなんか良いと思うのよね」
「…………」
「あっこれも良いわね」
「………………」
「意外とこういうのも合うかしら」
「……プリンセスー」
「何?」
「私帰りたいんだけど…」
「駄目」
「っもう嫌だ!やっぱり女物の服なんて着たくない!!!」
「何言ってんのよ。あんた女でしょう?」
「だって何時間私の服選んでんだよ!?適当で良いじゃん!!」
事の起こりは数時間前―――
アイリーンが病院(シャークの部屋)へ私の見舞いにやってきた事が始まりだ
「今更だけどさプリンセスー、私って目立ってるよね」
「なによ急に」
「だって、常時とまではいかないけど結構な時間有力者と過ごしてるじゃん?」
「ホントに今更ね。でも…そうね、目立ってるわね完全に」
「あぁぁああやっぱりか!全然気付かなかった…!!!」
シャークのベッドの上をゴロゴロ転がる
「むしろ気付いて無いって方が異常よ」
「いやこの前さ、タイロンとカーティスと手ぇ繋いでるのが噂になったらしくて、タイロンに怒られてさ…
そういえばアイツ等って有力者なんだって思って…
んで、私の交友関係振り返ってみるとほとんどが有力者っていうか、皆権力超持ってんなーと、気付いたわけよ」
「それ気付くの遅すぎるわよ」
普通(?)の友達と言えば、スラム街の雑魚共ぐらいだ(乱闘以来、何故か慕われてる)
肝試し(私一人が驚かす役)したり、皆で集まってご飯したり、鬼ごっこ(武器使用可)とかかくれんぼとか
だるまさんが転んだとかするし、一時期あやとりを流行らせた事もある
「ところで」
「ん?」
「あんた、シャークと付き合ってるの?」
「……………は?」
いきなり何を言い出すんだアイリーンは
「え。そんな訳ないじゃん!なに言ってんのプリンセス」
「だって、シャークのベッドに平気で転がってるんだもの」
「…この国では、人のベッドに転がると付き合ってるって事になるの?
だったら私、カーティスとタイロンとロベルトとも付き合ってる事になるけど。
…うわっ、それじゃあ超悪女じゃん私!」
遊びに行った時とか泊まりに行った時とか強制とか色々だけど、皆何にも言わなかったのに
「違うけど…無防備過ぎよ?」
「あー…前にシャークさんにも言われた…でも、ベッドに転がる事のどこが無防備なの?
ベッドって寝るための道具なんだから寝転んだって何も問だ」
「それ本気で言ってるの?女が、男のベッドに寝転んでるのよ?」
「プリンセス、シャークさんだって他の3人だってすっげぇモテるんだよ?しかも超美人ばっか!!
まずシャークさんは病院とか外歩いてる時とか酒場とか…っていうかどこ行っても結構声かけられてるし、
カーティスは私に会ってる時は室内とか、外でナイフ投げてくる事がほとんどだからよく知らないけど、
あ、ロベルトは引きこもりだから酒場行った時、色っぽいお姉さんが言い寄ってくんだぜ?
皆、私なんてアウトオブ眼中だね!!
タイロンはプリンセスにメロメロのぞっこんラブなんだから、確実にありえないしな」
「…はぁ(鈍い上に言い回しが古臭いわ)」
にぱっと笑うと溜め息を吐かれた
「それにさ、私ここで過ごして結構経つから、自室みたいな感じなんだよねー。
シャークさんも夕方あたりにベッドで寝てても何にも言わなくなったし。夜に寝ろって起こされるけど」
「それは…あんたが夕方に寝てたら困るのよ」
「え。……!もしかして仮眠取りに帰ってきてた!?うわ…今日謝っとこう」
「……。提案があるんだけど…ちょっと実験してみない?」
「何の実験?」
「それはね―――あんたが女の格好をしてみるの」
―――そして冒頭へ戻るわけです
現在女物の服やアクセのお店にいます
「女の支度は時間がいる物なのよ。大体、だって了承したじゃない」
「うー…じゃあもう私が選ぶ!」
返事を聞く前にアイリーンが持っていた中から
適当に服(上の下着含む)とアクセサリーを選び、試着室へ入る
着替えてから髪飾りと赤い石のイヤリング、少し甘めのネックレスを着け、
化粧道具(アイリーン持参)で化粧する
「これで良いだろ?」
ジャッとカーテンを開けアイリーンに声をかけると、目を見開かれた
え。どっか変なのかな…?
今の私の格好は、いつも通り黒づくめ…と言う訳ではなく、
黒をメインとしているが、赤でアクセントを付けているドレスだ。
いつもは完全に肌を隠しているのに対し、この服は肩から胸元まで開いている。
下のスカート部分は身体のラインが映えるようなスッキリした物でスリットも入っているが、
これは武器を仕込むために仕様が無いので気にしない事にした
靴もヒールを履いているので視線が高い
「………、『女』で言って?」
「は?」
「早く。さっきの台詞もう一回『女』で言って?」
「…“これでいいかしら?”」
小首を傾げて言うと、アイリーンは満足そうに頷いて
「その格好の時は『女』でいなさいよ?」
と言ってきた
「え゛。嫌だよ!」
「駄目。それじゃないと実験にならないでしょ」
「…女の格好するだけだって――」
「何か文句でも?」
「ありません」
うぅ…アイリーンが怖い…
「それで?この格好で何すんだ…っじゃない、するのかしら?」
「あんたが男共の『範囲内』だってことを証明してあげる」
「…別にそんなの証明しなくても良いと思うんだけど。意味あるの?そんな事して…というか、実行するの私よね?
プリンセスじゃないわよね??」
「発案は私だから良いのよ!」
と言う訳で、『ドキドキ!が女になっちゃった!?男共(有力者)をビックリさせちゃうぞv大作戦』開始です
こうなったからには楽しもうと思う
+++あとがき+++
今回短めにしてみました(次回が長くなる予定なので)
最後の作戦名は我ながら酷く残念なネーミングセンスだと思う
打ってて自分で「これは無いだろ」と突っ込んだ←でもやめない