気合を入れ直し、カジノを訪れた
この時間だと流石に起きてゲームしてるだろう…と店内を探すと、予想通りカードをしているロベルトを発見。
ゲームが終了したのを見計らって、ロベルトに声をかける

「こんにちは、ロベルトさん」
「…あんた誰っすか?」
「あなたは私の事を知っているはずよ?…そうね、ヒントを出すわ」

ピッと一本指を立てる

「ヒント1 本好き」

ピクリとロベルトが反応する。だがこれだけでは気付かない
もう一本指を立てる

「ヒント2 パジャマ半分こした後、ここの制服を着た事がある」

この辺りで“もしかして…?”みたいな顔をされた
駄目押しで最後のヒントを出す

「ヒント3 カフスボタン…使ってくれてるみたいね?」

ここでロベルトの目が完全に驚きによって見開かれる
ニンマリ笑い、問う

「さて、私は誰でしょう?」
「……………?」
「ふふ、当たり」
「っうそだろ!!!?別人過ぎる!!!」
「嘘じゃないわよ失礼ね。あ、証拠見る?腕を10針縫った跡とか。」

そう言って傷を見せてもまだ疑われる

「信じらんねー…つーか、お前そんな胸あったっけ?」
「っセクハラも大概にしときなさいよエロベルト!!!普段はさらし巻いて引っ込めてんの!!」
「お。この反応はっぽい」
「ぽいって何よ!?」

本物だっつーの!

「口調がいつもとちげーじゃん」
「……この喋り方、嫌?」
「あー、たまになら面白ぇけど。いつもは勘弁して欲しいな」

なんか、ほんとに不評だな。この言葉遣い

「面白いって…ちょっと酷くない?」
「いや完璧ギャグだろ。そんならしくねぇ言葉遣い、じゃねーし」
「…悪かったなギャグで。似合わねぇって事くらい分かってんだよ」
「ははっ戻ったな、口調。やっぱそっちの方が良いぜ」
「……」

ちょっと位なら、近付いても平気だよね…?

「先に言っとく。今の私に触ったら、潰すからな」

チラリと下半身に視線を投げて宣言しながら、ロベルトに近付き帽子をとる

「潰すって…っ!?」
「くれぐれも、お前からは、触るなよ?」

帽子をゲーム台に置き、するりと両手でロベルトの頬を包み、私の額とロベルトの額をくっつけた

「さっきの口調、らしくないって言ってくれて嬉しかった。ありがとう」
「ッ!!」

額を離しほわりと笑うと、ロベルトがビキッと固まる

「ところでロベルト?…お前、タイロンに私がくすぐったがりなの喋ったろ」

ロベルトの顔を両手で包んだまま、優しく喋る
視線を逸らされた

「し、喋ってねーよ…」
「――私の目ぇ見て言ってみ?」

逸らした視線を合わせるように顔をずらし、しばし見つめ合う

「………言った」
「やっぱりお前か…そういう事言うなよ。今日足触られただろ?」
「――あいつこの格好のの足、触ったのか?」
「え…ああ、でも軽くだぞ?軽く」

スリット入ったドレスの上に、俵担ぎだったからなー
逆に言えば、そこしか触れなかったって事だけど

「……なぁ、
「ん?」
「俺が触ったら潰すっつったのに、タイロンだったら良いのかよ」
「いや、良いって事はないけど…」
「タイロンは良いんだろ?」
「だから、良いって事はない――」
「じゃあ俺が触っちゃ悪いって事は?」

いきなり方向転換されてちょっと混乱する

「え?あーいや、触っちゃ悪いって事は無いけど…」
「だよな?俺が触っても問題無ぇよな?」

言うが早いか、手を引っ張られ抱き寄せられた

「…いやいやいや、ロベルトよ。今日は触ったら潰すっつったよな?」
「触っても問題無ぇんだろ?だったら良いじゃん」
「ほんと自重しろよ。ピュアなままでいたいんだろ?こうやってセクハラしてくる時点でピュアじゃねぇけど」
「俺は欲求に素直なだけだって。純粋だろ?」
「不純だっつの!!」
「それにこっちの方が蹴り潰されなさそうだしな」

甘い。甘いのだよエロベルト

「ふっ…誰が蹴り潰すっつったよ…握り潰してやる
「おいっそれ女としてどうなんだよ!!!??」
「そんなの私の知った事か!!なんだったら引き千切ってやろうか??!」

そう言って抱きしめられたまま、ゴソゴソと下半身へ手を伸ばす

「うわっ?!ちょ、分かった離すって!!!」

ぱっとロベルトから離された

、今日警戒心強くねぇ?」
「そんな事無ぇよ。普通だ」
「――首、なんかあったか?」
「……え?」

気が付くと無意識にタイロンが噛んだ場所に手を当てていた
ボッと顔が赤くなる

「な…んでも無い…」
「そんな顔で言われても全っ然説得力ねぇんだけど」

ジト目で見つめられた

「…なんでも無いったら無い!!!」

ゲーム台に置いてあったロベルトの帽子を被って顔を隠す

「――ちょっと場所移動しようぜ」

そう言って手を引かれカジノの隅へ連れて来られた
帽子を取られクイッと顔を上げられる

「よし。さっきの台詞、俺の目ぇ見て言ってみ?」

仕返しとばかりに同じ台詞を言われる

「…なんでもない」

あー駄目だ。恥ずかし過ぎて目が潤んできた

「だから何でも無い奴はそんな顔しねーよ」
「……警告…」
「は?」
「警告されただけだ…この格好で男友達に不用意に近付くなって…」
「……ふぅーん」

スッとロベルトの目が細くなる

ロベルト…なんだか獲物を見る目になってますよ

「で?警告ついでに、首に何かされたんだな」
「あー、えーと…」

言いよどんでいると次の質問を繰り出された
ロベルトの表情も元に戻る

「そう言えば、今日は何でそんな格好してんだよ?」

何がしたいんだロベルト…心臓に悪いんですけど!!
警戒しつつ、この質問には答える

「…実験してるんだ」
「実験?」
「うん。私がこういう格好したら、男友達が私を『女』として範囲内か見る実験。プリンセスが発案者」
「それはまた…微妙な…」
「微妙?なにが??」
「そんな事しなくても――いや、良い実験だな!」

ニパッと笑うロベルトの目を見て、凄く嫌な予感がした

さっきの獲物を見る目に戻っていらっしゃる

「ろ、ロベルトさん…?私そろそろ次の人の所行かなきゃなので、これにて失礼をば…」
「いやいや、まだ大丈夫だろ――なぁ?」

ゆるりとした動きで、しかも自然に壁へ身体を押し付けられ退路まで塞がれた

YA BA I 

「いやいやいや!押してるから!!ものっそい時間押してるから!!!ちょ、お前目が怖い!!!!」
「ははは、何言ってんだよ。…少しくらい遅れたって平気だろ?」
「っ平気じゃねえよ!!この後カーティスとシャークさんが残ってんだよ!!!」
「――じゃあ実験結果、教えてやるよ」
「へ?……この状態で聞くの?」

私がそう言うとロベルトはニンマリ笑い、顔を近付けてきたので
咄嗟に肩を押さえてその動きを止める

「え、あの、、ロベルト…?」
。“実験”っていうのはな、実際に経験するから“実験”って言うんだぜ?」
「……………まぁ、確かに」
「だろ?って事で、抵抗すんな」
「っするに決まってんだろ!?尤もらしい事言ってセクハラすんな!!!」

ぐぐぐ…と押し戻そうとするが、やはり力では敵わない

や、ヤバイ!!このままでは襲われ…いやカジノの中だしそれは無いけど近い事される!!(目がマジだから)
なんか…なんか気がそれるもの…!!!

「な、なぁロベルト、ゲームしねぇ?」

ロベルトはゲームという単語にピタリと動きを止めた

「ゲーム?どんな?」
「簡単なレースだ。私が勝ったら口で実験結果を言え。私が負けたら抵抗しない。」
「……ルールは?」
「此処のお客様に迷惑をかけずに、どちらが先にカジノの外に出る事が出来るか。
始まりの合図はチップを投げて床に落ちた瞬間だ。これなら私もお前もズル出来ないだろ?どうだやるか?
それとも、こんなチャチなゲームじゃやる気は起きないか?ロベルト=クロムウェル」

わざと挑発するようにニィッと笑うと、ロベルトは目を丸くした

「…っは。乗ってやるよお前のやっすい挑発…お前が負けたらヒーヒー言わせてやる」
「馬鹿言うな勝つ気満々だっつーの!そっちこそ吠え面かくなよ?」











で。勝負の結果から言います

私が勝ちました!

「っずりぃ!!」
「何言ってんだよ。誰も出入り口から外に出ろって言ってないだろ?今回のゲームは
どんだけ早く外に出られるかって事が重要視されてんだ。だから文句言われる筋合いは無い」

はい。非常口の方が近かったので、そこから外に出ました。
ズル?
いえいえ、作戦勝ちってヤツですよ

「くっそー」
「はっはっは。残念だったなロベルト」

ポンポンとしゃがみ込んでいるロベルトの肩を叩く

「で?実験結果、私は『範囲内』か?」
「……ああ」
「そうか」

へー。意外だな
女の範囲に入るんだ、私

「そうかって…そんだけか?」
「うん。範囲内なんだろ?」
「……お前、他人の事は良く見てんのに、自分の事になると途端に鈍いよな…」
「??確かに痛覚は鈍い方だけど」
「ちげーよ!!恋愛面に疎い!疎すぎる!!!」

ビシィっとロベルトに指をさされた

「は?…あー、それはプリンセスに何回も言われた事ある」
「だろ?お前、自分が恋愛対象として見られてるって自覚が足んねぇ」
「そうかな?っつーか、見てる人いんの?普段の私で??」
「いるから言ってんだよ」
「え」
「あ…」

ロベルトが「しまった」という顔をした

え。マジで?

「へー…いるんだ」
「………誰がお前の事好きか聞かねぇの?」
「うん。他人から聞いたんじゃ、好いてくれた相手に失礼だろ?私が気付くか、相手から直接聞かないと」

フェアじゃないと言うとロベルトは目を見開き

「ぶっ!っははは!!おま、無駄に男前だよな、、くっ」

大笑いした

「な、何だよ!笑うところか!?」
「ふっ…く…いや、お、俺、こんな女見た事ねぇわ!あはははは!!!」

ちょっと笑いすぎだと思う…褒められてるのは何となく分かるけど

「〜〜〜!!もう行くからな!!!」
「ははっ…
「な―――んぅっ!?」

ぐいっと手を引っ張られたかと思うと、腰をガッチリ掴まれキスをされた。
その後、胸元に顔を埋められる

「…っ…ちょ、ロベルト!!?」

チクリと小さな痛みを感じたかと思うと、ロベルトは離れた

「俺のせいで危険度上がったけど、残りの実験気を付けて行って来いよ!」
「はぁ!?」

恐る恐る胸元を見てみると…キスマークが付いていた

っっお前何してくれちゃってんのおぉぉ!!!??

カーティスは分かんないけど、シャークには確実に怒られる!!

「あはは!じゃあなー。またその格好で来い。今度は抵抗すんなよ?」
「あははじゃねぇし!!!もうしねぇよ!!!!!」





結果報告メモ その2
ロベルトには女口調をギャグと言われ、キスをされ胸元に吸いつかれました。
そして、どうやら私は範囲内の様です(そう言えばタイロンには聞けてないなぁ)