コレ嫌いなんだよなー






おとこん 27






タイロンの所から病院へ戻る
木に登り、そろりと窓の外からシャークが部屋に居ないか確認する

……よし。居ない

部屋へ帰ってしばらくした頃、アイリーンが結果を聞きに部屋を訪ねてきた



と、いうわけで。



「実験けっかほうこーーっく!!全員範囲内でした!ヒューヒュー!!ドンドンパフパフ〜〜!!!」
「…なんでそんなにテンション高いのよ」
「元気貰って来たからな!うっほーい!!!!」
「どこで?」
「んふふ ナ イ ショ ☆ 」
うざい。
「ちょっ酷くない?!それ酷くない???!!でも止めないけどな!!!フゥ〜〜〜!!!」

一方的に騒いでいると、ガチャリとドアが開きシャークが部屋へ帰ってきた
私を見た瞬間、シャークの目が見開かれる

「あ…あれ?シャークさん、どうしたんですか?」
「………

つかつかとこちらに歩み寄ってきたかと思えば、間を置かず笑顔で頭をギリギリされた

「っぎゃー!!痛っ痛いですシャークさん!!!」
「無断で夜中に出かけてんじゃねぇよ。しかも朝帰りとは良いご身分だなぁオイ」
「〜〜ちょ、夜中じゃないです!朝方に出かけたんですよ!!!しかも朝に帰ってきたじゃないですか!…ん?これ朝帰りか」
「だろ?朝帰りだよなぁ…俺の許可無く出かけたんだ。――覚悟出来てんだろうな?

そっと頬を包まれる

「ひッ!もう外出禁止解除されてるじゃないですかー!!」
「俺は最初に、“完治するまで『日中』なら自由に行動していい”って言ったんだ。事前に許可を取ってるなら別だが、
日が出てない内はハナっから許可してねえ」
「う…うわーん!!!そんなの屁理屈ですよ!ずるいぃぃぃ!!!!」
「頭使わねえからこういう事になんだろ?自業自得だ」

言われた瞬間、ぎゅむっと頬を抓られた

「いひゃい!いひゃいれふ!!」
「はははは、そうか痛いか…」

更に抓る力が強くなる

「〜〜〜〜〜〜ッッ!!!!」
は痛い目みねぇと分かんねえみてえだからなぁ…?身体に覚え込ませてやる」

今度はするり、と首筋をとても優しく撫でられる
でも目は笑ってない。痛いのとぞわぞわするのと一緒にする気だ…!!

ド…ドS様がッ!ドS様が降臨なされたあぁぁぁ!!!!

「ひぁっ!や、ちょ、言ってる事と触り方がなんだか破廉恥です!!お仕事は?!ほっといて良いんですか!!!??」
「まだ開いたばっかだらな。多少は平気だ」

えっ破廉恥スルー!!??
そんなスキルどうやって手に入れた!!くそ!どどどどうすれば・・・!!!

「ぅ…プリンセス!見てないで助けて!!!」
「あ?…何だ姫さん、居たのか」

シャークはピタリと動きを止め、私の視線の先へ目を向けた

「あら、居ちゃ悪い?」
「いや、そんな事ねえけどよ」
の事よっぽど心配だったのね、シャーク」
「うっ」

アイリーンがニンマリ笑うと、シャークはたじろいだ

?罰はちゃんと受けなさい。シャークはあんたの事が心配で心配で堪らなかったのよ?」
「ふぇ?」
「姫さん!余計な事は――」
「…ごめんなさい…あの、此処に…ちょっと居辛くて…」

おずおずと白衣を掴み、シャークを見上げる

「………。どこ行ってたんだ?」
「…南の、斡旋所に」
、朝方って閉まってる筈でしょ?中に入れたの?」
「うん。丁度タイロンが仕事帰りだったから。なんて言うかホラ、タイロンって男って感じがないから、行きやすくて」
「は?お前の目は節穴か?あいつモロ男だろ」

酷い!シャーク最近ちょいちょい酷い!!

「そうよ、タイロン程男っぽいのも中々居ないと思うわよ?ガサツだし大雑把だし部屋汚いし」
「あーしかもムキムキだしね。プリンセスは男と思ってるかもしれないけど、私は違うよ?奴は確実に癒し系だ」

どこが!?と二人の顔は物語っていた

「あいつ、私の事抱っこしてくれたんだよ?癒し系だろ??」
「「…………」」
「寝起きも可愛かった。寝てる時いびき掻いてたけど」

エヘッと笑ってそう言うと、二人の顔が更に顔が引きつった

、あんた…昨日の今日でタイロンに抱っこしてもらったの??!しかも寝起きまで見たの!?」
「うん。あ、私から抱っこは頼んでないよ?してくれたんだよ??」

抱きついたのは私からだけど

「よくもまぁ大人しく抱っこなんてされたわね」
「え?だってタイロンだし」
「理由になってないわよ!!しかも寝起きって…!!!」

寝起きにこだわるなーアイリーンは

「えーっと…」
…まさかとは思うが、一緒に寝たんじゃねえだろうな…?」
「ッ!い、いやぁ…そんな訳無いじゃないですか。あははは」
「――寝たんだな」

スゥッとシャークの目が細まる

静かに怒ってる…!!そしてこの声のパターンはヤバイ!!!
アレを…アレをされてしまう…!!

私の背中に冷たい汗が流れる

「いやあのっ………私が抱っこされてる間に寝ちゃって、タイロンの服を離さなかったそうで。気付いたら一緒に…
タイロンにも注意されました。“いきなり寝るな”と」
「だろうな。――こっち来い」
「え゛!!?い、今ですか…?」
「俺が何しようとしてるか分かってんだな…潔く白状した分だけは、優しくしてやる」
「ちょっと!ほんと今日やたら言い方が破廉恥ですよ!!優しくも何も、後にしましょうよっ」
に選択権は無え。来い」
「でも!プリンセスが居――」
来いって言ってんだよ
「………はぃ」

こ…怖いよぉ…

そろそろとシャークに近付く

「ぅ…お手柔らかにお願いします…」
「それはの運次第だな」
「やっぱり時間ランダムなんですか?」
「じゃねえと仕置きになんねぇだろ」

そう言って服の中に手を入れられる

「ちょっとシャーク?!」
「?何だ姫さん」
「あんた何やって――」
「プリンセス、これさ、お仕置きと同時にリハビリ&マッサージだから大丈夫だよ…私の苦手なヤツなんだ。
普段はしないんだけど、今日はシャークさんが一杯怒ってるから…電気治療の刑デス」

若干げっそりしながら言う
その間もシャークの手は私の身体の上を動き回る

「?電気治療って…機械無いじゃない」
「魔法医療道具の試作品で、微弱電気パッチってのがあってな。
電撃系の魔法が込められてるシールがあるんで、にだけ取り寄せて使ってるんだ」
「私さ、敏感だから治療というより、拷問に近いんだよねー…だから全身に貼られて、お仕置きなんだけど」
「充電式でな。シールはもうに貼ってあるから、再使用する時は魔力を入れるって品だ。
……、入れ終わったぞ」
「はい…あー…ベッド寝転んでも良いですか…?」
「良いぞ。これの時は立ってられねぇもんな?」

フッとシャークは笑って頭を撫でてくる

私とシャークの会話を聞いて、アイリーンはジト目で

「――ねぇ…あんた達、本当に付き合ってないの?」

と言ってきた。

「あ!電気きた!来た来たっ!!…、ぁっ…付き、ッ合って…、ないっ!うぁっ、、ビリビリ、する…っ」

早く…っ早く終われえぇぇ!!!

「(シャークって毎回カナデのこんな姿見て耐えてんのね…)大変ね、シャーク」
「だろ?こいつ何回言っても聞かねえから、毎回仕込むのが難儀なんだ」

フゥ…とわざとらしく溜め息を吐くシャーク

コレ使う時って絶対私でストレス発散してるよ…!!だって楽しそうだもん

「ちょ、っと、プリン…セス!私には…ッ労わりのっぁ、言葉ないのかよ、っていうか、シャークさん、仕込むって…
せめて…ぅっ覚えこませるって、言ってくださいよッ!!」
「意味は同じだし、の自業自得でしょ?」
「そうだ。の自業自得だ」
「うぅ…そ…だけ、ど…ッ」

二人してそんな言わなくても…

「ちょ、もう喋れ、、無いっ、から、ちょっと待ってて!!」

電気治療が終わったのは、それから15分後でした。




「あー…疲れた。タイロンは安全なのに…」
「まだ言うか」
「だって、耳に息吹きかけたら、“こういう事出来たんだな”って感心された位ですよ?
この発言はつまり、私は女として範囲内であっても襲う対象にはならないって事です。
それにタイロンの奴、“どっちと聞かれれば範囲内”って言ったんです。だから安全ですよ」
「でも、それって確実に安全って事ではないわよ?」
「私にとってはそれで十分信用に足る発言なんだよプリンセス。私を抱っこした時こうも言ったんだ。
“襲うつもりは無い”って。だからタイロンは大丈夫だよ」

ほわりと笑っていうと、アイリーンはポカンとし、シャークは右手で顔半分を覆い天井を仰ぎ見た

「???どうしたの二人とも」
「姫さん…俺の労力は無駄になりそうだ…」
「そうねシャーク…これは一種の奇病よ。治らないわ…ロベルトとはまた違うけど」
「ちょっと!!?ロベルトと一緒ってどう言う事!?私病気じゃないし!!怪我してるだけだし!!!」

そう言うと、二人仲よく溜め息を吐いていた




+++あとがき+++

電気治療道具は捏造です(言わずもがなですが)