こういうのお泊り会の醍醐味だよね!







おとこん 30







所変わって、私の寝室

「さて。じゃあ良い子のみんなは順番にお風呂入ってねー。リビングに布団敷くから二番手三番手は
お手伝いお願いします!」

そこで気づいたようにロベルトが言う

「そういや、着替えがねぇんじゃ…」
「あ、ソレ心配ない。あるから。下着も。カーティスは家すぐそこだから、風呂入る前に取ってきてくれ。タオルは用意する」
「分かりました」
「…なんでそんな物持ってんだ?

ジト目のシャーク見られた

「私が普段、家の中では男物の大きめの…って言うか大きい服着てるので。楽なんですよーダボダボしてて。
下着はこの前、プリンセスと一緒に買い物行った時に、酒盛りがある事言ったら買っとけって言われて…えーっと」

ごそごそと箪笥を漁る

「あった!使う人に伝言も預かってます。えーと、なんて言ってたっけ…んー……っ思い出した!!!
確か“そんな展開にはならないと思うけど、本人に許可とってから手ぇ出しなさい”って言ってた。
…この伝言って、パンツの使用許可???はい、全然良いですよ使ってくれて」

パンツの一枚や二枚、気軽に使えば良い

「「…プリンセス…」」
「…姫さん…」
((( 全っっ然意味分かってねぇ(ません)…!!!! )))

三人とも脱力してる。

??どうしたんだ???











全員が風呂に入り、私も風呂に入って着替えた後、ひょこっとリビングの入り口に顔だけ出した状態で声をかける

「やっほー☆」

風呂から上がりたてなので、ポタポタ雫が髪から落ちる
それを見たシャークに眉根を寄せながら注意された

「……ちゃんと髪拭け」
「シャークさん…またそんな、お父」
それ以上言ったらどうなるか――分かってるな?それとも忘れたか?」
スミマセンデシタ。

バッと入り口から姿を消し、タオルを頭に被せがしがしと拭いていると、
カーティスが声をかけてくる

、僕が拭いてあげますから、こっちに来てください」
「え。いいよ別に、これくらい自分で…」
「髪が爆発しますよ?最近髪が乾かない内に寝て、毎朝困って結局頭を冷水でビショビショに濡らすじゃないですか。
今日も乾かない内に寝るつもりなんでしょう?…あえてダメ押しで言っておきますが、シャークが無表情になってます」
「う!!…お願いします」

私が入り口に全身を現した途端、ロベルトがパシッと自分の額を叩き、天井を仰ぎ見た
それに構わずカーティスの前に座り、タオルを渡して髪を拭いてもらう

「おま…そんな男のロマン直撃の格好…!!!」
「へ?どこが?」

Tシャツ(タイロンが着て丁度良い位のサイズ)姿のどこがロマンなんだ。

「一応言っとくけど、下にちゃんと短パンはいてるよ?素足じゃないよ???ロマンって確か、素足の状態だろ?」
「見た目がモロなんだよ!!」
「え。そう?見えてんじゃんズボン部分」

チラチラだけど

「…あ。チラリズム弱いの?ごめん私今これしか寝巻きがないからさ。諦めて?」
「チラ…ッ!!!??〜〜〜もういいっ!!」

プイッとそっぽを向かれた

「…ところで、何しに来たんだは。もう寝るだけだろ?」

シャークが不思議そうに聞いてきたので、さらっと答える

「え?大勢でお泊りの定番と言ったら雑魚寝でしょ!!って事で、
混ぜてください端っこで良いから。トランプも持ってきたよ!」
「おま――」
おしこっち来い!!ポーカーするぞポーカー!!!」

シャークが何か言いかけたのに被せて、トランプと聞いたロベルトがポンポンと自分の隣を叩く

こーのちゃっかり☆ボーイめ!!ほんっとゲームに目が無いんだから(ある意味扱いやすい)
…シャークが何か言いかけたのは聞かなかった事にしよう。怖いから

「ちょっと待ってロベルト。…ありがとカーティス。お前の髪も湿ってるから、私に拭かせてくれ」
「僕は良いですよ
「駄目!やられたらやり返すの!!」
「…それ、使い方間違ってます」
「気にすんな」

わしわしとカーティスの頭を拭いて、手ぐしでカーティスの頭を整える

「ホイ、終了」
「…どうも」
「どういたしまして。――お待たせロベルト!」

ニッコリとカーティスに笑いかけてロベルトの所へ移動する――と、タオルを差し出された

「…何?」
「俺も拭いてくれ
「えー?しょうがないなぁ…ほら、頭出せ。…シャークさんは?」

わしわしロベルトの頭を拭きながら、シャークに問う

「…俺はいい」
「そうですね、シャークさんは大人ですもんね!じゃあ肩をお揉みします!」
「は!?いや、俺は別に――」
「ん。ロベルトも完了ー☆ちょっと待っててな。このあとポーカーな!!」
「おう!」
「おいって、!俺はいいって言ってんだろ!?」

嫌がるシャークを無理矢理押さえる

「まぁまぁ。たまには施術される側にまわってみるのも良いかもですよ?
――カーティス、ちょっと押さえるの手伝って?」
「なんで僕がそんな事…」
「この中で一番力強そうだから。頼むよ、明日お前の好きな夕食のリクエスト聞くから。
――毒無しの特製ご飯(たっぷりの愛情入り)」
お安い御用です――シャーク、大人しくしてないと殺しますよ?」
「………ッ!!?」

カーティスが押さえつけながら結構な殺気を出したので、ピタリとシャークの動きが止まった

「あの…カーティス?そこまでしなくて良いよ?」
「なに言ってるんですか。男にはこれくらいで丁度良いんです」
「あ…ははは…シャークさんごめんなさい。悪ノリし過ぎました…カーティス、もう良いよありがとう」

そっとシャークを解放する

「――が俺に頼んでるブツ、渡して依頼完了した瞬間に奪い取ってマジで燃やしてやる
「おわ゛ーーーっ!!!ごめんなさいごめんなさい!!!!!!!」

一生懸命謝り倒して許してもらった






「よしロベルト、早速ポーカーするか!最初の一回はプレイマネー(仮想金銭)で絶対イカサマ無しな、運試しって事で!
二回目からリアルマネー(本物のお金)でアンティ(参加費)と賭け金有りにするか。アンティ1000Gで良い?」
「良いぞ。で、ノーリミット(賭け金制限無し)な。」
「マジで!?それは嫌だ!!!!」
「もう決めた。俺が親でいくぞー。ほらほら、早く手札見ろよ」

そう言ってカードを配られた

「無理矢理!?い…いーーーやーーー!!!持っていかれる!家ごと全財産持っていかれる!!!!」
「リアルは二回目からなんだし、要は勝ちゃあ良いんだよ、勝ちゃあ」
「お前…簡単に言うな!!!〜〜〜っカーティスとシャークさんもしよ…って、寝てる!!?」

振り返ると、二人分の布団の膨らみが。

…『巻き込むな』オーラが出てるんですけど

「寝るの早いっ!早すぎるだろ!!!!!ちょ、なぁおい起きてんだろお前等あぁぁぁぁ!!!!!」
「………」
「………」

ハンノウ ガ ナイ。タダ ノ シカバネ ノ ヨウダ。

「…ねぇロベルト、ちょっと泣いて良い?」
「そんな暇あるなら手札見ろ。じゃねぇと、俺がベット(賭け金上乗せ)して、
カナデがチェック(賭け金出さずにゲーム続行)出来なくすんぞ。
いきなりコール(ベットされた金額と同金額を上乗せしてゲーム続行)したくねぇだろ?」
「私が手札見てない上に順番すっ飛ばして!!!??ッこの鬼畜っ!!!サイテー!!!!」
「なんとでも。――早く手札見ろって
「むぅ!!!イジワルーーー!!」






って事で、イカサマ無しのショウダウン(手札の見せ合い)。



「くらえっ!!スペード渾身のおぉぉぉ、ストレエェェェイトフラァァァッシュ!!!」

私は勢い良くバッと、ロベルトはスマートにスッと手札を見せる

「残念でしたー。こっちはエースのファイブカード。…俺の勝ちだな」

フッと鼻で笑われる

「くっ!!やっぱデタラメな強運の化け物じゃねぇかアホ!!引き強すぎだろ!…勝てる気がしないから止めていい?」

これでイカサマとかされたら、本気で全財産むしり取られそうなんだけど!!
骨も残らなそうなんだけど!!!!

「馬鹿言うな。これからが本番だろ?イカサマのお手並み拝見ってな――酒場では本気じゃなかったし」

………ロベルトの目がマジだ。そういう意味で勝負したかったんかい!

「…イカサマやる事前提かよ」
「とーっぜん!本気出せよ?酒場の時みたいのじゃあ、勝負になんねぇぜ?」
「うわ…負かす気満々だ…分かったよ本気出すよ。ちょっと待って本気モードに脳みそ切りかえるから」

目を閉じ深呼吸して気分を落ち着けてから、ゆっくりと目を開け――
睨みつける様に、挑発的な目でロベルトを見やる

「――。では、始めましょうかロベルト=クロムウェル」
「…っは。来い」

雰囲気と口調をピンっと張り詰めた物に変えると、ロベルトはニンマリと胡散臭そうに笑った














結果。10万G負けました


「んあーーもうちょっとで引き分けられたのにぃ!!!!!くそっ無理!もう無理!!!
頭パンクする…穴と言う穴から煙が出る…あぁぁぁ…」

その場にゴロゴロと寝そべる

「凄いですね、がロベルト相手にここまで競るなんて」
「ああ吃驚だ。普段もこれくらい頭使やぁ良いのによ」

いつの間にかカーティスとシャークがゲーム見てたし…裏切り者!!

「失礼ですよシャークさん!カーティスは褒めてくれてありがとっ☆でも一緒にゲームしてくれたって――」
「なぁ、って引き分けが目標だったのか?」

それまで黙っていたロベルトが口を開いた

「なんで…?」

むくりと起き上がりロベルトを見る

「“もうちょっとで勝てたのに”って言うだろ普通なら」

しばし見つめ合う

「…そうだね」

そう言うと、ロベルトが怒ってきた

「お前…本気出せって言ったじゃねぇか」
「本気出して引き分け狙ってたんだよ!!」
「はぁ?意味分かんねぇ――俺の事馬鹿にしてんのか?」

ロベルトの瞳に剣呑な光が宿る

…怖い、怖い怖い!!!本気で怒ってる…

「ッ違う!馬鹿になんてするわけ無いだろ!!リアルマネーでのゲームはロベルトが初めてだったの!!!」
「はっ??」

目をまん丸にして驚いてる…まぁそりゃそうだよな。

「〜〜酒場で言っただろ“コッソリ練習した”って。本気で練習しかしてないんだよ!!!
だから一回目プレイマネーにして慣らしたんだっ」

つまり、私はプレイマネーでの実戦経験しかないって事です。
いきなりリアルなマネーとか、私にはプレッシャー過ぎるわけです!!

「実戦経験無くていきなり勝てるとは思ってないから、目標が引き分けだったんだ…」
「…何でプレイマネーで勝負しなかったんだよ」

なんでだと?そんなの決まってる

「だって、ロベルトはリアルでしたいでしょ?今日ローリスク無理って言ってたし、スリル無いと…嫌だと、思って…」

ロベルトの威圧感に、段々語尾が小さくなっていく

「………。そっか、そういう事か…なんだよ最初に言えよなー」

ロベルトの機嫌が急に治った

「――

スッと手を伸ばされて、ビクリと身体が震えたがロベルトは構わず手を伸ばしてきた
ぐりぐりと頭を撫でられる

「怒ってごめんな?」
「…もうゲームしない………あんなに怒る事ないじゃん…」
「ほんっと悪かったって。またやってくれよ。な?」

ぐりぐりされながら、顔をのぞき込まれる

「………。…たまーーーーーーーーになら、良いよ?リアルマネーでしょっちゅうは、絶対破産する」
「じゃあ、プレイマネーなら毎日」
「アホか出来ねぇよ!たまにならって言ってんだろ!!!っつーか毎日こんなハイレベルに頭使ったら、
その内血管切れて鼻血が出るわ!!!
それに私にだって生活ってもんが有るんだ!毎日カジノに行けるか!!」

いや、マジで鼻血とか出るぜ?こんなに考えてゲームするとか、普段の私なら考えられないもん
っていうか、久しぶりに神経すり減らしたから眠くなって…きた…ロベルト頭撫でて、、くれて、るし…
…本気で……つか、れ……

「ごめ…ロベ…ト…ね……る…」

ポスリとロベルトの胸へ倒れこんだ所で、意識が闇に呑まれた









「………は?!?!!!??」

わたわたと慌てるロベルト。それを見ていたシャークがため息を吐く

「はぁ…また落ちやがったな。の奴」
「っなんだシャーク、落ちたって――」
「寝たんだよ。…ったく、こいつは限界まで人に気ぃ使い過ぎだ。寝かしといてやれ。
…ちょっかいかけんなよ?」
「そうですよロベルト、を寝かせてすぐ離れなさい。何かしたら殺します」
「カーティスにだけは言われたくねぇよ!っつーか俺の事どんな目で見てんだてめぇ等!!!」

ロベルトがそう言うと二人は顔を見合わせ、次いでロベルトに視線を戻す

「ロマンだの何だのと気色の悪い事を言っている暑苦しいギャンブル狂いですよね?」
「頭の中はギャンブルとスリルと妄想がつまってるメルヘン野郎だろ?」
「…どっちも酷ぇ…が、特にシャーク!!なんだメルヘン野郎って!!!!」
「言っても良いのか?俺に散々依頼してくる恋あ」
わーーーーーーーーーーっっ!!!!!!!!!言うな!!!!!!!!!」

を抱き留めたままロベルトが叫ぶと、が反応した

「ん゛ーー…るさぃ…!!」

ばふりとロベルトを押し倒して、抱き枕よろしくぎゅっと抱きつく

「ッ!!???!!!?」
「…すーーーーー…」
「うわ…寝てるし…どうすんだこれ」
「その状態はどうにもなりませんよロベルト。一晩拷問決定です」
「そうだぞロベルト。からくっついたら離れねぇから、癪だが今日は耐えるんだな」
「………。カーティスはともかく、なんでシャークがそんな事知ってんだよ」
「そんな目で見るな。俺も被害者なんだよ…」

遠い目をするシャーク。影まで背負っている

「まぁ、被害者の先輩としてアドバイスしてやる――頑張れ」
「…それアドバイスじゃなくて応援じゃねぇか」
「頑張って寝ろって事だ。」
「僕からも一言贈らせてください。もしに如何わしい事でもしたら……」

カーティスはそこで言葉を切り、ロベルトから視線を外す

「っ最後まで言えよ!!!」



翌朝、げっそりしたロベルトがいたとかいなかったとか…