今思ったけど、嫁に来たみたいな発言だったよね。アレ
おとこん 32
「ロベルトー来ーたーよー」
昨日と同様にガンガンと扉を叩く
が。またしても反応が無い
………もー…
「ロ・ベ・ル・トっ!開・け・ろ!!」
区切りに合わせて再度ドアを叩く。そして―――
ドゴォッッ!!!!
「開けろっつってんだよこのギャンブル狂いがっ!!私が2日連続でゲームすると思うな!!!
せめて3日くらいは開けろ!!!!!!」
扉に回し蹴りを喰らわせた
…あ。ドアちょっと凹んだ
「5つ数える間に開けないと、ライルさんに言いつける。5…4…3…」
カチャリと鍵の開く音が聞こえ、次いでロベルトが不満そうに出てきた。
やっぱりパジャマで寝ぐせついてるし…
「チッ!」
「チッ!じゃねぇよ。私が頭使うと疲れるの知ってるだろ?昨日の分がまだ後引いてるから…」
「分かった分かった。で?ドアに何したんだよ。すっげー音したけど…凹んでるし」
「ノックしてただけだもん☆」
「ぜってーノックじゃねーよ!…っつーか昨日無茶しすぎだろ。ライルが殺さなかったのは奇跡に近いぜ?」
そう言って来るロベルトに、私はニンマリ笑って答える
「ロベルト、ライルさんは私の事最初から殺す気無かったと思うよ?」
「は?何でそう思うんだ」
「だってあの人、標準が短気でドSなのに私の話聞く態勢になってたし。通常なら有無を言わさずフルボッコだろ?
プリンセス関連なら尚更容赦ないじゃん。なのに剣突き付けるだけにとどまってたんだよ?
――…ま、殺されるとしても無抵抗で殺されるつもりは毛頭無かったけどな」
手段選ばなきゃ怪我させるくらい出来るだろうし…
「――マジで今から俺とゲームしろ」
「は!?なんっでそうなるんだっ!!!さっき分かったって」
「お前が悪い(あの目は反則だろ…)」
「なんで私が悪いんだよ!?意味分かんねぇんだけど!嫌だよ今日はお前と一緒に
シャークさんのとこ行くんだから!!」
「は?何しに行くんだ?」
「頼んでた私の水着取りに。…受け取っても燃やされないよね…ちょっと不安だ」
ちなみに、デザインはアイリーンが選んでくれた物と、私が選んだ物の二種類。
「じゃあシャークはが海行くの知ってんのか?」
「うん。で、その水着取りに行きたいんだけど…何か問題ある?」
「いや…俺も海に行くって言うなよ。もし口が滑ったらライルも行くって言っとけ」
「???分かった。」
そして現在、シャークの部屋
「――なんでロベルトも来てんだよ」
「あぁ、シャークさん。気にしないで下さい」
「そうだぜシャーク、気にすんな!」
「………。」
シャークがジト目でこちらを見ている…
う…やっぱロベルトが病院来るのは無理が…
「、首診せろ」
「え……何でですか?」
「傷がある。刃物でやっただろ、それ」
「…あぁ、昨日切れたんですかね…ロベルトも言ってよ」
「俺気付いてなかったし…シャークって目敏いよなー」
私の口ぶりから、シャークはギッとロベルトを睨む
「…ロベルトは事情知ってるな。何があった」
「言わねー」
ピリッと空気が張り詰める
「あー…ロベルト、シャークさんと二人っきりで少しだけ話して良い?次の依頼品の事とかあるし」
「…余計な事言うなよ」
「うん。ありがと」
ロベルトが部屋を出て行った後、さっそくシャークから質問がきた
「で?何したんだ?」
「ライルさんにケンカ売りました」
さらりと白状すると、シャークはライルと言う名が出てきた事に困惑したようで、若干うろたえた
「……相手が悪すぎるだろ」
「知ってます。でも、必要な事だったので。」
「ケンカ売った原因は」
「…シャークさんだったら分かるんじゃないですか?私は『相手が悪すぎる』という言葉に対して、
『知ってます』と言ったんですよ?」
しばらくするとシャークの目が段々見開いてきた
「………まさか……お前…」
「さて!今日からしばらくお供がいるので、さくさく進めましょう!」
気付いたようなので話を打ち切る
「……。『お供』、な。」
「ええ。お供です。ロベルトにも殺されなかったのは奇跡に近いって言われました。なので今日から私の事は
奇跡を呼ぶ女・と呼んでください!!あっ『奇跡を呼ぶ女・』で名前ですからね!」
エッヘンと胸を張る私に、シャークは呆れの眼差しを向けてくる
「言わねぇよ阿呆」
「何でですか!格好良いでしょ?」
「すっげぇ格好悪ぃ(阿呆は否定しねぇのかよ)」
「むー!!!じゃあいいですよ!シャークさんのケチっ守銭奴!!!」
プイッとそっぽを向く
「、話を逸らすな。何でお前があの人の事知っ」
「嫌です駄目です逸らします」
そっぽを向いたまま遮る
「…………。こっち向け」
「嫌で――いっった!」
ガッと頭を掴まれて無理矢理首を回された
「〜〜ッ、いったー…もー!力技は卑怯ですよ!!」
「首…もう少しいってたら死んでたぞ」
そろりと傷の上を撫でられる
え゛、結構いってたの?それとも皮膚薄いから危なかったの??
「ッ…あー…頚動脈ピッタリでしたからね、一応。向こうに殺す気無かったんで良かったです。
…あの、もうケンカ売ったりしませんよ?だから、だからそんなに怒らないで下さいお願いしますっ!!!!」
無言で怒気を飛ばすのは勘弁して下さい!!!
「はほんっっっっっっっとに何度言っても聞かねぇなぁ?怪我しすぎなんだよ」
頭を両サイドからギリギリされる
「ぎゃーー!!!痛い痛い痛い痛い!!!!!!!!!そんな事言ったってっ!しちゃう物はしちゃうんですよ!!
別にしたくてしてるわけじゃ…」
「当たり前だ。態としてたら俺が殺してやる」
傷口を強めに押された。本気で痛い
「〜〜〜〜っっっ!!!!!!!!し…シャークさん、有難うございます」
「何がだ」
「いてて…何も聞かないでくれて」
ライルの事も、私の事も聞かないでくれるみたいだ。やっぱ優しいなぁ…傷口押されたけど。
「………。礼はこれで良いぞ」
ちゅっ
「…………………ぇ。」
「ほら、依頼品だ。傷診てやるからそこ座れ」
ガサリと水着が入っているであろう紙袋が手渡された
「え、はい……え???ちょ、っシャークさん今…!!!」
「あ?なんだよ構わねぇだろ?――頬にキスする位」
あ。やっぱした?あまりにも自然過ぎて白昼夢かと思った
「え…えぇー?????っていうか、お礼って言うなら私がしなきゃなんじゃ…」
「なんだ、してくれんのか?」
「え゛!!?!!???」
ボッと顔が赤くなる
「だろ?」
「う…うー…!!」
「無理すんな」
ぽんぽんといつもの様にやさしく頭を撫でられた
「………んっ」
「っ!」
ぐいっとシャークの白衣を引っ張り顔を引き寄せ、勢いでちゅっと頬にキスする
「………お、まえ…(もう少しで口だったぞ…)」
「〜〜〜ッじゃあ!もう行きま」
「――待て」
出て行こうとしたら、再度ワシッと頭を掴まれた
何故!?恥ずかしいのに!!!!
「傷診せろ」
「…そんなに深くなかったでしょ?出血してないですし」
「出血しないように切られてんだよ。プロだぞ?」
「げ…ライルさんめ」
今度悪戯してやる。と計画していると、シャークから注意された
「おい…余計な事すんなよ」
「!?なんでバレたんですか?」
「分かりやすい。いいか、すんなよ?」
「…はーい。あ、水着!有難うございました。で、今日追加でお願いしたい品があるんですけど
良いですか?ちょっと急ぎめで」
「なんだ?」
「あのですね―――」
「ロベルトお待たせ!カジノに戻ろっか」
「もう良いのか?」
「傷口の治療して貰ったし、水着も貰ってきたし、次の依頼品も頼んだし、今日はもう良いよ」
「余計な事言わなかっただろうな」
「うん多分☆」
テヘッ☆っと笑ってみせるとジト目で見られた
「多分ってなんだ多分って」
「イヒヒヒヒ答えは言ってないもーん♪」
笑って誤魔化す
「おま…その笑い方どうにかしろよ」
「まぁまぁ!帰りは特別サービスでカジノまで飛ぶからさ、それで許して?」
きゅっとロベルトのスーツを掴む
「?なんだ?」
「人と飛ぶ時ってちょっと緊張するから、触らせてくれ」
「…じゃあ抱きしめてやる」
「え?いやいや、そこまでは――って、お前行動早すぎだろ」
気付いたら抱きしめられてました
「…ま、いっか。じゃ、飛ぶぞー」
「おー!」
シュンッと独特の音を残し、病院を後にした
「はい、とうちゃーく。」
「おぉ…すっげー!!」
「――ロベルト」
少し姿勢を正して(抱きつかれたままだけど)目がキランキランしてるロベルトを見る
「ん?」
「今日から暫くお世話になります。不束者ですが、どうぞよろしくっ!」
「…おう。で?はどんな水着買ったんだ?」
「秘密!」
今から海が楽しみです