あの人はガチで苛めっ子!!(そして多分一番楽しんでたのもあの人)
おとこん 33
青い空、白い雲―――そして
「うーーーーみーーーーだーーーーーぃ!!!!!」
きゃっほー!!!海ですよ、海!!
いそいそとローブを脱いで上着に手をかける――と、
「なっ!?!!!ここで脱ぐな!!!!」
「そうよ!!!」
ロベルトが顔を真っ赤にしながら、アイリーンが若干青ざめながら服を脱ぐのを止めてきた
「え。なんで?海に来て、下に水着きてる時はいっつもやってるよ??」
「…水着…着てんのか…?」
「当たり前だろ?だって着替えに行くの面倒だし。…何?まさか着てないと思ってたの?
いやいやいや…そんな、まさか」
そんな破廉恥な真似しないし。
あれ…?って事は、皆は着てないんだ。
「じゃあさ、私荷物番してるから皆着替えておいでよ。それまで待ってるし」
脱ぐ手を止めて、荷物の横に座り込む
脱いだまま待ってると一人でソワソワするし(海に入りたくて)
ロベルトがアイリーンをエスコートしながら歩き出しているのに、ライルは私の隣に座っている
「あれ?ライルさん着替えて来ないんですか?」
「私は保護者としてついて来ましたので。遊ぶ気も、泳ぐ気も、ましてや水着になる気もありません。
当然、水着だって持ってきてはいません」
あ。水着全身ピチピチボーダーじゃないんだ
…ある意味見たかったのに。…残念だけれど仕方が無い。
ごそごそと自分の荷物を漁り
「そんな事もあろうかとっ!じゃーん!!!」
ライルに向かって海パンを高々と掲げる
「…なんですかソレは。」
「ライルさんの分の水着!買っときました☆」
ピチピチボーダーよりはマシだろうと思って(そもそも私の想像なのに)シャークから予備の海パンを買ってました。
とは言うまい
「さぁさぁさぁ!!早く着替えて来てくださいっ!せっかく海来たんですよ?たまには息抜きして遊ばないと」
「いえ…私はこのままで」
「…じゃあ、剥きます。とうっ!!!」
隣に座っているライルの足の間に身体を割りいれる
「は?――っ!!!??」
「フフフ。観念して着替えてくださいライルさん。一人だけ服着てるとか、空気読まないにも程があります」
上着を脱がし、ループタイを外す
「…足が悪いので座っていたいんですけど?」
「もう治ってるでしょ?」
「――…本当に、どこまで知っているんですか?貴女は」
「さぁ?どこまででしょうね?」
意味深な笑みを浮かべてライルを見る
「………。」
「それに、女は少しぐらい秘密がある方が魅力的ってプリンセスが言ってました!」
今度はにぱっと笑ってみせる
「…そうですね。では、魅力的に感じましたので、私も服…脱がせて差し上げますよ??」
私が膝立ちの状態で、ガシリと腰を固定された
「え゛!ちょ、まっ!!!」
「水着を着ているんですから、野外で脱ぐのは平気でしょう?先程自分で脱ごうとしてましたし。
あぁ、私の服もそのまま脱がして下さって構いませんよ――これ以上脱がせられるのなら、ね」
そう言いつつ、ライルに片手でプチプチと服のボタンを外される
うわーv絶望的に超器用★
「っじゃなくて!!私は自分で脱ぎますから!!こ、こんな脱がしっこみたいな…やーめーてー!!!」
「おや、こういう行為は恥ずかしいと思うんですか?普段キスされたり押し倒されたりしているんでしょう?」
「それとはレベルが違いすぎるだろーー!!」
ロベルトとアイリーンが帰ってきた頃、私は上着のボタンを全て外され、
服が中途半端に身体に引っかかった状態になっていた。
そして――ズボンにも手をかけられそうになっています…
…両手で片手のライルに勝てないとか…もっと鍛えなきゃ…
「なっ!!??何やってんだライル!」
ロベルトにぐいっと引き寄せられて、ライルから解放された
「苛めて遊んでました」
「〜〜っっイジメカッコワルイ!!イジメカッコワルイ!!!!!」
ロベルトにすがり付いたまま、ライルに向かって叫ぶ
「何を言ってるんです。貴女が誘ったんですよ?」
「いつ!?いつ私が苛めてくださいって誘ったよ!!!??」
「“たまには息抜きして遊ばないと”と言ったじゃないですか」
「私で遊べとは言って無いだろおぉぉぉ!!!!!海関係無いし!!!!!!
ちょ、もうこの鬼畜眼鏡私に近づけないで!!無理!!!!」
「……鬼畜眼鏡、ですか。そんな事を言われると期待に応えたくなりますね」
「っうわ!?」
ロベルトから引き戻され、後ろから耳に息を吹きかけられる
「ひぁっ!!〜〜〜ちょっと!!?何でライルさんが私の苦手な場所知ってるんですか!!」
「さぁ?どうしてでしょうね?」
ちょっと強めに耳を噛まれた
「いッ!!?もうほんっと離れて!嫌!イヤアァァ!!!」
「…ふ…そうですか、嫌ですか」
「何でそんな嬉しそうなのおぉぉぉ!!!???」
「ちょっとカナデ、耳元で叫ばないでくれません?煩い」
「煩くしてんだよ!!離れろ!離れろ!!!は〜〜〜な〜〜〜れ〜〜〜ろ〜〜〜!!!!!!」
頑張って煩くしても、ライルには一向に効かない
「ははは。嫌ですよ遊んでる途中なんですから」
「っこの野郎…!!!!脱がしてやる!絶対水着にしてやるー!!」
「出来るものならしてみなさい。ほら…早く防がないと残りも脱がせますよ?」
「くっ!なんだその大人の余裕!!って、ズボンはっズボンはやめて!!!」
ライルとの攻防戦(っていうかあんまり防げてない)の間、
「…うわー…俺、拷問以外でこんなライル初めて見るかもしんねぇ…
俺のゲーム観てても此処までじゃねぇし」
「私も…あんなに楽しそうな先生初めて見たわ」
「プリンセスも見た事ないんですか?」
「ええ。私には勉強時以外は優しいもの。あっち系の鬼畜スイッチ入った先生は見たこと無いわ。
…って人の懐に入るの上手いわよね。良い意味でも悪い意味でも」
「あー、分かります。しかも無自覚なのがタチ悪いっすよねー…あんなに嫌がったら、この分じゃ
ライルの奴どんどんちょっかいかけますよ。」
アイリーンとロベルトは暢気にこんな会話を繰り広げていた
やれやれ…とでもいう風に、二人は首を振っている
「ちょっとそこの二人!見てないで止めろおぉぉぉ!!!」
結局私は全敗し、ライルはアイリーンがお願いしたら渋々着替えてきやがりました。
…私の労力返せ!!
「…っはぁ、はぁ、結局全部脱がされた上に、ライルさん水着に出来なかった…!!!」
「はライル相手に良くやった方だって。その水着、似合ってるぞ」
「そうよ。とんだ災難だったわね」
「…ありがと」
アイリーンとロベルトに慰められた
うぅ…癒される…助けてくれなかったけど。
「だらしないですねは。もう少し腕を磨いたらどうですか?」
「…年季入ってる手前様とは違うんですよ。このプリンセス大好き男がっ」
「――水着も脱がせて差し上げましょうか?今度は両手で。身体で覚えれば、後は経験でどうとでもなりますよ?」
「止めてくださいお願いします!!!」
片手でアレなのに両手で来られたら絶対全部剥ぎ取られる…!!
「…ロベルト、ライルさんって遊ぶ時いっつもこんなんなの?」
「いや…今日は機嫌かなり良い方だぜ?っていうか、こんな機嫌良いライル見た事ねぇよ」
「そうなの?へー。じゃあ息抜きできてるって事だよね!良かったですねライルさん!」
にこっとライルに向かって笑う
「…、本当に普段は馬鹿なんですね」
「は?馬鹿って言わないで下さい眼鏡。ケンカ売ってるんですか眼鏡。買いますよ眼鏡。」
「、先生相手にケンカ買わないのよ。ほんとに馬鹿なんだから」
「…酷い…ロベルトー、この師弟超酷いよー。私の味方になって?」
コテッとロベルトの背中にもたれ掛かる
「あー、これ仕様だしな…昔っからこの二人ってこんなだぜ?」
「そうか、二人とも鬼畜か…」
「?聞き捨てならないわ。ライル先生はともかく、私の事は撤回しなさい」
「お嬢様…!?」
アイリーンの発言に、ライルがうろたえる
「そういうとこがSなんだよアイリーン」
「なんでよ普通で――――カナデ、今の台詞もう一回言って?」
「え?聞こえてたじゃん」
「良いから!」
「…“そういうとこがSなんだよ”」
「…その後」
「………“アイリーン”。改めて言うと恥ずかしいな。流してくれれば――」
良いのに。と言う前にアイリーンが胸に飛び込んできた。
ロベルトにもたれ掛かっていたのでアイリーンが抱きついてきた衝撃がロベルトにも伝わり、
「うぉっ!?」と声が聞こえたが、アイリーンは一向に気にしていない。
「やっっっっっっっと呼んだわね!!!」
「あー…タイミング逃してて…さ。ここ他国だし、良い機会かなと思って」
「…ギルカタール帰っても呼びなさいよ?」
「うん。勿論」
アイリーンの頭を撫でながら答えると、凄く良い表情で笑ってくれた
「――そういえば、その水着にそんなリボン紐のチョーカーなんて付いてたの?」
「ううん。これは私のオリジナル。変かな?」
「いいえ。水着に合ってるわ」
首の刃物傷を隠す為の苦肉の策ですけどね
「じゃ、泳ぎに行こっか!ロベルトとライルさんは?」
「私は見てます」
「俺もパース。引きこもり舐めんな」
そうだよね引きこもりーズだもんね。……ちょっとは動け
「せっかく水着なのに…ほんと二人とも枯れてんなぁ…じゃ、行こっかアイリーン!」
「ええ!」
私達が海に行った後――
「……ロベルト、あの子ああいう言葉は知ってる癖に、何故あんなに鈍いんですか?」
「読んでる本の影響だろ?俺と趣味一緒だぜ?」
「もアレなんですか」
「アレって言うな!まぁ他にも色々読んでるみたいだけどな。魔法書とか」
「…何者なんですかね…私の足が治っているのも知っていましたし」
「……マジで?」
「ええ。――久し振りに面白い玩具に出会えたものです」
カチャリと眼鏡をかけ直すライル
「程々にしとかねぇと噛みつかれるぞ、ライル」
「上等です。噛みついて来るくらいが苛めがいがあって丁度良いですよ。」
「(うーわー…鬼畜スイッチ継続中…)マジで程々にしとけ…?」
「それは向こうの出方次第ですね」
アイリーンと海できゃっきゃしてる途中、何故かロベルトから同情の視線を注がれていました
…???何??
それが分かるのは、もう少し後だったりします