仲間(と言う名のスポンサー)をゲッツ!(ちょ、古くね?!)





おとこん 6






今日はフリーマーケットがあった。
珍しく古本を売り出していたので色々大量に購入してしまった。
なにを隠そう活字に飢えてたからね!帰ったらしばらく引きこもろうかな…
大きな紙袋を抱えながらだったので人にぶつかり、本が落ちた

「あ。ごめんなさい」








「くっそーライルのやつ…いっつも俺ばっか呼び出しやがって!!」

ロベルトは久し振りに外に出ていた。ライルの呼び出しの帰りだったのだ。
ふとこの国では珍しくないケンカに視線を向けると、ある一点で視線が止まる。
目に飛び込んできたのは――この国では珍しいロマンス小説だった









「いってー!!あー、これは骨が折れたなぁ〜」
「……」

あちゃー面倒臭いのに引っかかった

「おぅ兄ちゃんよぉ、慰謝料払ってもらおうか」
「………」

その声を無視して本を拾い、こちらの様子を見ていた店のおっちゃんの方へ向かう

「おっちゃんちょっとこれ預かって」

ガサッと紙袋を預ける

「おう」
「ちなみに私とアイツだったらどっちが勝つと思う?」
「そりゃあ…」

口ごもるおっちゃん

「そうか。私が負けると思うんだ?じゃあ賭けようか。私が勝ったら5000Gな」

おっちゃんと話していると、男は顔を真っ赤にして男が拳を振り上げてきた。

「っおい!!!無視してんじゃ…」

言葉を最後まで聞かず振り向きざまに遠心力を利用し、相手の腹へ蹴りをくらわせると、ドウッっと男は倒れた
馬乗りになり、脚で肩をを押さえつけて動けないようにしてから

「はい終了〜。私が勝ったんだからもうちょっかいかけて来るな」

と勝利宣言。
とは言うものの、こういう手合いはしつこいんだよな…もうちょっと脅しとくか

「ふ、ふざけんな!こっちが下手に出てりゃあ調子に乗りやが――」
「おい雑魚。私は早く帰って本が読みたいんだよ」

コンバットナイフを相手の喉下へつきつける

「私あんたがわざとぶつかって来た時謝ったよね謝っただろ謝ってやったよな?
それなのに骨が折れたっていう方の腕を振りかざして襲ってくるってのはいくらなんでも三流って言うか塵以下?
やるなら関節外すとかもうちょっと上手くやれっていうかせめて反対側の腕で来い」

ノンブレスで一気に言葉を紡ぐ。
男は二の句もつげない様だ

「今日は見逃すけど…次私の前に現れたら、どうなるかなぁ?」

目は笑わないように気をつけながら、わざとらしくニンマリと笑う。
ナイフを首から離し、男から降りると、男は逃げていった。
私もうちょっとお淑やかだったのになぁ…ここへ来てからどんどん逞しくなってるよ

「おっちゃん荷物ありがと」
「あ、ああ…」
「そうだ。5000Gの代わりにコレ、貰っていい?」

と置いてある紅い石のブレスレットを指差す

「いいぜ。あんたにやるよ」
「やった!ありがとうおっちゃん」

ブレスレットを受け取り鞄に入れようとすると、また紙袋から本が落ちた

「あ…」

二回も落としてしまった
気を付けないと…
本を拾おうと手を伸ばすと、スッと誰かに本を拾われた



な、なんで…
なんで此処にいるんだロベルト=クロムウェル!!
あれ?ここ外だよね?カジノじゃないよね???
しかも私が落とした本の表紙をジィーっと見ている

「あの…お兄さん?その本私の物なんですけど…」
「…………」

ロベルトは表紙を見たまま動かない
何でもいいから本返してくれないかな

「もしもーし?お兄さーん??」
「……ぃ」
「え?なんですか??」

聞こえなかったのでもう一度聞き返す

「あんた、ちょっと来い」
「へ?っわあ!」

ガシッと腕を掴まれ、人気の少ない場所へ移動させられた

「なんなんですかいきなり」
「…あんた、こういう本良く読むんですか?」
「は?まあ、あれば読みます。他にも冒険物とか恋愛――」
「っ俺も!!俺も読むんすよ!いやー良いっすよねー本は!」

話最後まで聞こうぜロベルトさんよ…

「ところでお兄さん。その手に持ってる本、返してくださいません?」
「ん?ああ、すみません興奮してたもんで」

やっと本を返してくれた

「俺、ロベルト=クロムウェルって言います。あんたは?」
です。しがない一般庶民ですよ。
で、ロベルトさんは何か私に用事があってここまで連れてきたんですか?」
「へ?」

キョトンとするロベルト
大方予想はついてますけどねー
どうせこんな話できる人が居なくて嬉しかったのと、外でこんな話するのは不味いと思ったんだろう

「あ…いや、なんつーかこういう本って男が読むなんて珍しかったっつーか…」
「ああ。それでですか」

やっぱりな
私も本仲間欲しかったし、こっちの繋がりなら親しくなりたい
下手にギャンブル関係で目を付けられたら怖いしな

「ロベルトさん、私最近この国に暮らし始めたので、今持ってる本が全部なんです」
「そうなんすか」
「で、これから増やしていきたいんですけど、この国ってこの手の本需要が無いじゃないですか」
「あー…俺も苦労してんるんすよ。本屋に無いから、商人に頼んでるんですが相手が渋っちゃって」

そりゃ、シャークはこんな物調達したくないだろうよ

「へえ…私も頼みたいなぁ。何ていう人ですか?」

だが私だって頼みたい

「シャーク=ブランドン」
「ああ、シャークさんですか。それは渋りそうですね」
「って、はシャークの知り合いなんすか?」
「知り合いと言うか、彼の身内と仲が良いんですよ。 なので、シャークさんとも話します」
「へぇ」
「ですのでロベルトさん、私と共同戦線張りませんか?
「共同戦線?」
「そうです。私はシャークさんから何としても取り寄せ了承を得てきます
その代わりと言ってはなんですが、私の分の定価以外の代金持ってくれませんか」
「―――絶対っすか?」
「絶対何としても確実に獲得してきます」

しばし見つめ合う

「わかりました。持ちましょう」
「!有難うございます!」
「ただし、失敗は許さないっすからね」

ロベルトの目に冷たい光が宿る
怖…

「わかってます。もしもの時は、切り札使いますので」
「切り札?」
「…これだけは、ほんとに最終手段です」

最初はシャークに普通に依頼を持ちかける
断られたらメイズ経由で揺さぶりをかける

それでも駄目だったら最終手段

そう、私が女だと自分でばらす
シャークは男の依頼で、しかも自分の知人からだから恥ずかしいと思うわけで。
知人は知人でも、女でこの内容の依頼だったら渋々ながらでもしてくれると思う
だって私生粋のギルカタール人じゃないし
女の武器フル動員してやる

ってそんな凄い切り札持ってんですか?」
「…キラキラした目で見ても教えませんよ?
ロベルトさんにこの作戦は使えませんので」

ほんとに文字通りキラキラした目で見られた
…ちょっと可愛い…

「残念。じゃあ、交渉が決まったらカジノに来てください。待ってますんで」
「分かりました」

その日はそれでロベルトと別れた



後日カジノへ作戦成功の報告をしに行くと、ロベルトは物凄く喜んだ(ちなみにシャークに女とはばらさなくて済んだ)