空から悪魔が降って飛んでいきました
おとこん 9
砂漠で一人魔法の練習中です
「あーーづーーいーー」
そろそろ結界の練習しようと思ったは良いんだけど
魔力の量がどんな物か気になったので測定してみたら
盛大にボンッと音を立てて計測器が壊れた
なんでやねん!(思わず関西弁)
…私魔力こんなに要らないんですけど
勉強嫌いだし
そんなに使わないし…
結界上手く張れなかったらどうしてくれるんだ!
回復魔法使って鼻血とか出たらどうしてくれるんだ!!
あー…誰か魔力吸い取ってくれないかな
それかシャークに制御か吸収系のマジックアイテム取り寄せてもらおうかな
ゴロリと砂漠に寝っ転がって目をつむる
「おーいそこのお兄さん!あんた行き倒れ?」
「ほっておこうよマイセン。僕こんな人間に興味無いよ」
「だってミハがこの辺で魔力感知したんだろー?」
………暑さで耳がイカレたか?
ここに居ないはずの人達の声が聞こえた気がしたんだけど
気のせいだろうと思う事にして寝ようと試みる
というか、気のせいじゃなかった時の対処として狸寝入りを決め込む
「ちょっとー。お兄さんてば…寝てる?この炎天下の中で??」
「…………」
「なんなのこの人間。マイセンを無視するなんて…ねえマイセン、殺して良い?」
「駄ー目だってミハ。お兄さん寝てるんだから返事出来ないんだって」
「何言ってるのマイセン!この人間寝てなんかいないよ
それに僕知ってるよ。こいつ『お兄さん』じゃ無くて『お姉さん』だよ
前にマイセンが人間のオスが『男』で、メスが『女』って教えてくれたもの」
「え?マジ?この人女?」
「そうだよマイセン。この人間女だよ」
「………はぁ」
溜め息を吐いて起き上がる
やっぱ無理か
悪魔に対して狸寝入りは
「どーもー。人間のメスでーっす
初めまして?どっから湧いてきたんですかお二人さん」
「ほらやっぱり起きてた。マイセンを無視するなんて許せないブツブツブツ…」
「ミーハ。女には優しくって言ってるだろー?」
「…そちらの金髪兄さん大丈夫ですか?」
主におつむの具合
実際見てみるとほんとアレな
ミハエルってマイセン大好きっ子な
「あー大丈夫大丈夫。いつもの事だから」
「いつもですか。そうですか」
チラリとミハエルを見るとまだブツブツ言ってる
「そんで、何であんたは狸寝入りなんてしてたわけ?」
「一人で考え事したかったからですよ
まさか人が来るなんて思わなかったもので」
「へえ。砂漠で考え事するなんて変わってんなーあんた」
「…魔法の練習してたもので」
「え?何、ギルカタールにいるのに魔法使いなのか?珍しいな」
「じゃなくて、砂嵐が来た時の結界の練習してたんですよ。魔力の調節が難しくって」
「ふーん。なあミハ!」
マイセンがミハエルを呼びつける
「なにマイセン」
「お前が感知した魔力って、コイツじゃないか?」
「うん、そうだよ」
「やっぱり。えーと、あんた名前は?」
「です」
面倒くさいから名前だけでいいや
相手の自己紹介も切ってやる
「そっか。俺は――」
「マイセンさんですよね」
私が答えると
ミハエルが口を挟んできた
「なんで君みたいな人間がマイセンの名前を知ってるの?許せないんだけど」
「それはすみません。あなたがマイセンマイセン連呼してたから
そうなんだろうなーと思っただけですよ。で?金髪兄さんはミハさんて名前ですか?」
「なにそれ僕のせいにするつもり?人間っていつも責任を押し付けるよね」
「ほんっとすみません。で、簡単で良いんであなたのお名前は?」
「ミハエル=ファウスト。悪魔だよ」
「ミハエルさんですね。私です」
「さっき聞いたよ。前に言った事をもう忘れたの?ホント人間って愚か」
「いえ、個人個人に言ってるだけですよ」
自己紹介をしているとマイセンが口を開いた
「ミハが俺以外と仲良く喋るの珍しいな」
「何言ってるのマイセン!全然仲良くなんか無いよ!
こんな人間に僕が仲良くするはずない!!」
すぐさまマイセンに近付き否定するミハエル
「私も名前を聞いてただけなので仲良くした覚えはありませんが」
「そうか?…なあ」
「ハイなんですか?マイセンさん」
「ミハが悪魔って信じるの?」
「あー。私、生粋のギルカタール人じゃないので、すんなり受け入れられますよ?
それに魔法関係の書物にも悪魔について書いてましたから」
暑いしどうでも良いってのが一番だけど
「ほんとに変わってるなーあんた。この国で魔法関係の書物読み漁るなんて」
「普通です…あ!!!」
そうだ!悪魔!!
あーでも契約がネックだよな…駄目もとで聞いてみるか
「ミハエルさん!知り合いの悪魔に、契約無しで
魔力だけ吸い取ってくれそうな悪魔居ませんか?」
「なんだって?」
「何言ってるの?」
マイセンとミハエルが同時に喋る
「私、魔力のみ減らしたいんです。黄金の在りかとか、賢者の石とか全然興味なくて」
「…それって契約無しで食事提供するって事だよね」
「あー、そうですね。そうなります」
「君、ほんっと愚かだね。望みも無いのに悪魔に関わろうなんて」
「まあ…マジックアイテムがすぐ手に入れば、言う事無いんですけど」
ギルカタールでは全然需要が無いからなー
一人行動多いから、砂漠で戦闘中に砂嵐来た時に
結界脹れなかったとかシャレになんないし
かと言って砂嵐用のマジックアイテム買う気にはなぜかなれない
「魔力は必要最低限しか必要ないので
お金掛からなければ一石二鳥かなって」
「そういう問題なのか?」
「はい、ただの威嚇用魔法が攻撃魔法になるっていうのも理由の一つですけど」
ちらりと先ほど試した魔法の痕跡を見る
砂漠に大きなクレーターができていた
結界って一人練習だと上手く張れたかどうかわかんないから
結界練習後、簡単な威嚇用魔法試したんだけど
見事攻撃魔法になった
ちなみに失敗するとポヒュッと煙が出る
「じゃあ、コレあんたの仕業なの?」
「ええ」
「ふーん…」
マイセンは考える素振りを見せ
そして
「おいミハ。で食事しろ」
とんでもない事を言い出した
「えぇ!!?嫌だよ!僕マイセン以外で食事なんてしたく無い!!」
「いいから。し・ろ!」
「うー…」
「ミハ?俺の言う事、聞けるよな?」
「ぅ…わかった。マイセンが言うならするよ」
こちらに近付いて来るミハエル
「え…マイセンさん、ほんとにするんですか?」
「ああ。お試しってことでさ」
「や…ぱり…アイ…テム…取り…寄せる事に…しま…す…」
うつ伏せの状態でゼェゼェ言いながら心に決める
無理!こんなにしんどいの毎回耐えないといけないなんて!!
「そうか」
「えぇ…これ毎回はちょっと…」
しばらく休んだ後、マイセンに話しかける
「マイセンさん」
「ん?」
「ありがとうございました」
「何が?」
「私には、あなたの様に覚悟が無い」
「………」
「悪魔と契約するって、こういう事なんですね」
「……フッ俺に惚れるなよ?」
「あはは…気を付けます」
ニッコリ笑って言うと、少し驚かれた
「ほんと、って変わってるよ
じゃあ、俺ら行くから」
「はい。お気をつけて」
「……」
「っ!?」
ミハエルが私の名前呼んだ!
「は、はい!なんでしょう?」
「ごちそうさま」
「お、偉いぞーミハ!食事の後はごちそうさま!」
マイセンがミハエルの頭を撫でている
確かに、でも「いただきます」は言ってなかったけどな
「そうですね、ミハエルさんお粗末様でした」
意外と可愛いなミハエル
頭の中はマイセンマイセン!状態だけど
「粗末?結構美味しかったよ。マイセンには敵わないけど」
「へ?」
バサリと羽を出しマイセンを抱えて飛び立つと
あっと言う間にいなくなった
「美味しかったんだ…へー」
どんな味か気になった一日でした