もうほんと意味分かんないよね






おとこん〜Ifな感じでハートの国〜 1






えー、皆様こんにちは。です


私は今、変な帽子を被った男の目の前にいます。
というか現在、彼を押し倒した状態です。
場所は多分彼の敷地内、門の近くと思われます。
ギルカタールにいるはずの私が何故ここにいるかと言うと、また落ちました。
なんでか知らないけどいきなり落ちました。多分ヤツ(超絶美形)の仕業だと、私は睨んでます。
とりあえず落ちてしまった物は仕方ないので、今のこの状況から早く抜け出したいと思いました。アレ?作文??

ほんと何考えてんだあの野郎…!!!
っつーかここってギルカタールより危険じゃね?私の予想が正しければ、銃弾飛び交うあの世界だよ?
銃がメインだよ?刃物では太刀打ちしにくいよ??

「えーっと…いっっ!!?」

がうん!!!!

何か言葉をかけようとすると殺気を感じ、いきなり頭を狙って銃をぶっ放された
飛び退く事が出来なかったので、結果的にブラッド(仮)と密着する形になる
だがこれで正解だ。弾が貫通するかもしれないから撃てないだろう

「おい!ブラッドから離れろ!!!」

発射元はウサ耳の男。エリオット(仮)

「あ……っぶねーな!!何しやがるこのウサギ!!!」
「俺はウサギじゃねぇ!さっさとブラッドからどきやがれ!!!その状態だと撃てねぇだろ!?」

予想通りエリオット(仮)は撃ってこれない

「打つなっつんだよこのウサギ野郎っ!!!!」
「ウサギじゃねぇっつってんだろ!!」

ブラッド(仮)にくっついたまま(だって危ないもん)抗議する
ていうか今『ブラッド』って言ったな。やっぱりか!やっぱりあの世界か!!
あとは赤か緑かどっちなんだっつー…

思考にふけっていると腰に腕を回され、くるりと反転させられる
つまり、ブラッドに押し倒された状態だ

「ブラッド!!?」
「え。あの…?」
「………」

じぃっと見つめられ、そしておもむろに――
ローブの中に手を突っ込まれた

「っ!!!??」
「ああ。やはり思った通りだ…どうして男の格好なんてしているんだ?お嬢さん?」
「へ?コイツ、女?」

エリオット(もう確定で良いや)が気の抜けた声を出す
っつーかブラッドに胸を現在進行形で触られてんですけど!!

「――確認が終わったのなら早く手を除けてくれないか?お兄さん?」

殺気を出して口調を真似して言ってやると、ブラッドはキョトンとした後、気だるげに笑った

「何笑ってんだよ、私が大人しくしている間にさっさと手ぇどけろ」
「――嫌だと言ったら?」

ブチッと堪忍袋の緒が切れる音がした

「……押し倒したこっちも悪かったけどな。だからって人の胸を触って良い理由にはなんねぇんだよ!
この変態帽子っ!!」

幸い、手を拘束されていなかったのでガッと上着を掴み上体を持ち上げ、
足を胸元まで折り曲げブラッドの肩を両足で蹴り上げ更に隙間を作る。
その反動を利用して逆でんぐり返りの要領で転がり抜け、二人から距離を取った
素早くホルスターから投げナイフを取り出して構える

「テメェっブラッドに何しやがる!!」

言った瞬間エリオットが撃ってきたので奴に向かってジグザグに走り、
ある程度接近したところで身を低くし、スピードを上げてナイフを投げつつ、短剣を抜きながら近付く。
私がエリオットの喉元に短剣を突きつけたのと、エリオットが私の眉間に銃を突きつけたのは同時だった。

「変態足蹴にしただけで撃ってんじゃねぇよこのウサギ野郎…耳削ぐぞ」
「ブラッドは変態じゃねえし、俺はウサギじゃねえって言ってんだろうがこの男女…殺すぞ」
「っは!お前鏡見た事ねぇの?その頭に付いてる耳はウサ耳だろーが。馬鹿か?」

見下したように嗤うと同時に素早く首を横に傾ける

がうん!!!

また撃たれた。ほんと短気だなコイツ…

「避けてんじゃねえよ」
「避けるに決まってんだろ馬鹿ウサギが。死ね」
「んだとこの――」
「ふ………」

その時、物凄く場違いな楽しそうな笑い声が聞こえた
視線を声のする方に向けると、ケタケタと笑うブラッドの姿が。

「ふふ…ははは…」
「ブ、ブラッド???」
「………えー…」

何故にこのタイミングで笑われねばいかんの…?

「はは…エリオット、銃を降ろせ」
「っ何でだよ!こいつブラッドの事――」
「この前も言ったと思うが、敷地内では殺す前に許可を取れと言っただろう?」

ブラッドがエリオットに注意?する

「……ごめん」

エリオットが耳をしゅんと垂らしながら銃を降ろしたので、私も短剣を鞘に納める
なんか見た事あるぞこのやりとり…しかも『この前』って事は、アリスがここに居るって事か…?
とまあ、それはさて置き

「そんな簡単に殺られねぇよ。舐めんな」

ギッとブラッドを睨みつける

こちとら伊達にギルカタールで鍛えられてねーんだっつの

「それは失礼、余所者のお嬢さん」
「はっ?!こいつ、余所者なのか!!???」

ブラッドはまた気だるげにニンマリしている
エリオットは一々うるさい(酷い)

「お嬢さん言うな。って名前がある」
「そうか。私はブラッド、ブラッド=デュプレだ。で、こいつが――」
「俺はエリオット=マーチ。よろしくなっ」

さっきまで殺りあってたのにも関わらずエリオットは笑顔で自己紹介して来た
あっさりだな…どうでも良いけど

あっそう。別に聞いて無ぇよ」
「…つれないお嬢さんだ」

そう言いつつ楽しそうだ。相変わらず気だるげだけど

「お嬢さん言うなっつってんだろ変態帽子。かといってお前等に名前を呼ばれたくも無いから
金輪際、私を見ても声をかけるな。じゃあな」

出口へ向かおうとすると、いつの間に近付いたのかブラッドに腕を掴まれた

「…離せ」
「なぁ、エリオット」
「ん?なんだブラッド」

え。無視ですか

「今は、夜だな」
「ああ。夜だ」
「と言う事は、夕食の時間だ」
「そうだな――」

おぉ!?ちょ、ちょっと待て!この展開は不味い、強制招待フラグが立ってる!!

 逃 げ な け れ ば ! !

バッと手を振り解き、門の壁にナイフを投げる
それを足掛かりにして門を上り外へ――

っと、その前に

くるりと二人の方を向くと、ぽかんとした顔でこっちを見ていた

「おい変態帽…じゃない、ブラッド=デュプレ!」
「なにかな、お嬢さん」
「だ・か・ら・お嬢さん止めろっつーの!!あの、押し倒してごめんなさい。
……って事で次から会っても声かけんなよ!!!」

ひらりと門の外へ出て走り去る

あいつ等とは絶対絶対関わらない!!
っつーか、私キレてとんでもない事しでかしたんじゃ…
う、うあぁぁあこれからどうしよう…!!!









――が去った後、ブラッドとエリオット――

「なーブラッド。あいつ面白えな」
「そうだな。…しばらく退屈せずに済みそうだ。
エリオット、仕事のついでに、見つけ次第の捕獲をしておけ。…殺すなよ?」

壁からナイフを引き抜き、気だるげににんまり笑う

「おお。わかった!」

そう言った二人の顔は、新しい玩具を見つけた子供の顔だった


+++あとがき+++
そんなこんなでハトアリシリーズ始めました
ウチの子はブラッドとエリオットを敵認識したようです
 あ れ ?